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映画の世界

コメント集(31)

  1. 前ページ
  2. 子供たちをよろしく Streetwise
  3. モダン・タイムズ Modern Times
  4. 家庭 Domicil conjugal
  5. 裸足の伯爵夫人 The Barefoot Contessa
  6. 気狂いピエロ Pierrot le fou
  7. 五月のミル
  8. 雨あがる
  9. モンテ・クリスト伯
  10. 存在の耐えられない軽さ
  11. 現金に手を出すな
  12. 時計じかけのオレンジ
  13. 遥かなる山の呼び声
  14. 獅子座
  15. 巴里の屋根の下
  16. 晩菊
  17. 浮雲
  18. めし
  19. 自由を我等に
  20. ミモザ館
  21. パリジェンヌ
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評論編 > 映画の世界 > 映画リスト > コメント集

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今年見た映画(2005年)

Streetwise 子供たちをよろしく 2005/11/03

子供たちをよろしくアメリカ映画といっても、ハリウッドの活劇だけが作られているのではない。社会問題に焦点を当てたドキュメンタリーも健在である。その中で、大都市における、浮浪少年少女の実態を描いたこの作品は、どうしても見ておかなければいけないだろう。

すさまじい離婚率のこの国で、家庭崩壊後の子供たちは、どこかの施設に送られるならばまだしも、親がどちらも見放したり、刑務所に入れられていたり、アル中や麻薬にとりつかれていたりで、子供の面倒を見ることが到底不可能な場合が数しれなくあるのだ。

ここは西海岸、サンフランシスコの北にある大きな港を持った大都会、シアトルである。カメラはその町にうごめく子供たちの様子をとらえた。男の子は、ごみ箱をあさったり、物乞い、盗み、などをして生きている。どこかの空き家にベッドをこしらえて寝泊まりしている子供もいる。

女の子の場合は、売春によって安易に収入が得られると思っている場合が多く、すっかりその方面に入れ込んでいる子供もいる。だが、劣悪な環境であるためにほとんどが性病を抱え、中には妊娠している子供もいる。いったんこれで収入を得ると、男の子のように物乞いやゴミ箱あさりをすることができなくなってしまう。

レズとして街角で絶えず喧嘩をしている子供、売血によって金を得ている子供、痛いのを我慢して入れ墨をしてもらう子供、LSDをはじめとしてありとあらゆる麻薬を試す子供。大都会の街角では子供が一人で生きていくには危険で厳しすぎる。たいていは相棒や同居者を持っている。警察にいつ捕まるかもわからない。

子供たちをよろしくまったく離れてしまった親にたまに電話をかける子供もいる。自分の親にできた新しい配偶者が嫌いでたまらないから家に帰らないというケースが非常に多い。父親が刑務所に入っている場合には、面会に行く子供もいる。これほどの深刻な事態にも関わらず、市の福祉事務所の活動は微力だ。また、子供たちもいうことを聞かない。

子供たちが何らかの事件を起こすたび、カメラはその場所に駆けつけて、緊迫感が張りつめる場面を多く残した。ストーリーはその中の一人の少年が自殺をして短い命を閉じたところで終わる。この子はまだ父親が葬式に参列できた。だがアメリカ全土には、両親も親戚も誰も訪れない子供の死や、忽然と姿を消してしまうケースが非常に多いのだ。(1984年)

Directed by; Martin Bell Writing credits Cheryl McCall Casts ; street children リスニング;街の言葉。

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Modern Times モダン・タイムズ 2005/11/12

モダン・タイムズこの作品でチャップリンがアメリカの政府から、共産党員という烙印を押されたのは、まさにこの時代と、アメリカ独特の教条主義のためであろう。このあとチャップリンはアメリカに嫌気がさし、この地を去ってスイスに移り住むが、アメリカという制度的にはいかにも民主主義が根付いているように見えるが、実際の人々の精神は、魔女狩りの横行した中世と大差ないという現実を目の当たりにしたことであろう。

20世紀初頭のアメリカ。冒頭では羊たちの大群が、ついで出勤する労働者たちの大群が映し出される。機械化された大工場では大勢の男たちが働いている。ここではベルトコンベヤによる徹底的な流れ作業が実行に移され、社長が巨大なテレビスクリーンを通して労働者たちの働きぶりを監視している。

はじめゆっくりだったコンベアの流れは、労働者たちが慣れた頃に、スピードを上げる。チャップリンが演じる労働者は、そのスピードについていけない。ボルトを締める部分を担当しているのだが、だんだん遅れて隣の男の部門に入ってしまい、何度も監督から注意を受けていた。

外部から、労働者たちに「エサ」を食べさせる機械を発明した業者が、社長の前で実演をしてみせることになった。チャップリンの労働者が選ばれて食事をさせられるのだが、まるで人間を無視したこの機械は、口の中に食物を放り込むだけである。そのうちに機械が暴走して手が着けられなくなった。

モダン・タイムズコンベヤでは怒鳴られるわ、エサ機械でひどい目にあわされるわ、で彼は頭がおかしくなり工場内を大暴れ。即座にクビになって精神病院に送り込まれた。やがて数ヶ月後、退院できたが、外の世界はストライキや失業者であふれていた。

たまたまトラックの落とした赤旗を拾って歩いていたところ、ストライキのデモ行進と一緒になってしまい、リーダーと間違えられて刑務所入り。だが、脱獄ギャングをやっつけて、刑務所長に感謝され、予定より早く出所することができた。しかも推薦状まで書いてもらった。

だが、折角仕事を見つけても彼に合うものがない。腹を空かしていっそ何か悪いことをして刑務所に戻りたいとさえ思う。そこへパンを盗んで追いかけられている少女に出会った。母親がいなく、父親が死んで妹たちは孤児院に送られてしまった彼女は、一人で生きていこうとしていたのだ。

二人は警察の護送車に送られる途中に脱走して、何とか二人で家を持って暮らしたいものだと願う。荒野の中に倒れかけた空き家を見つけた二人はここを本拠地にして働こうとする。工場再開のニュースに男は工場に駆けつけるが、ストライキが始まって、警官とのもみ合いで再び刑務所行き。

ようやく出所したとき、少女が門の外で待っていてくれた。彼女は路上で踊っているときに、カフェのオーナーにスカウトされて、仕事を得たのだ。男も一緒にそのカフェにウエイターとして雇ってもらうことになる。ウエイターの仕事はうまくいかなかったが、おもしろい仕草で歌う歌は大喝采を受け、正式に雇ってもらうことになった。

ところが少女を「浮浪罪」で逃亡しているとのことで、刑事がカフェに彼女を捕まえにやってきた。二人は大急ぎで逃げ出す。翌朝、街道に出た二人は、朝日の輝く中、次なる未来を夢見て進んでいくのだった。(1936)

Directed by Charles Chaplin Writing credits Charles Chaplin Cast : Charles Chaplin .... A factory worker (as Charlie Chaplin) / Paulette Goddard .... A gamin リスニング;サイレント映画

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家庭 Domicile conjugal 11/19/2005

逃げ去る恋若きドワネルはかわいい嫁さんクリスティーヌをもらう。近くには彼女の両親が住んでいて、二人をしばしば食事に招待してくれる。クリスティーヌは家でバイオリンのレッスンをしている。

一方、ドワネルはまだ身を入れる仕事が見つからないでいる。今のところはアパルトマンの中庭で、花を赤や青に染める実験に夢中になっているが、これでお金儲けができそうもない。

クリスティーヌは妊娠した。どんどんおなかが大きくなり、男の子が産まれた。ドワネルは妻の反対をよそに、息子にアルフォンスという名前を勝手に役所に届けてしまう。

このままでは収入が足りないと、求人欄で見たアメリカ系の会社に応募して、社長から庭にある港の模型の管理を任せられる。リモコンで動く船をあちこち池の中を走らせてお客に自慢してみせるのが社長の趣味なのだ。

家庭ある日日本人の一団が会社を見学にやってきた。そのなかのキョーコという女にドワネルは惹かれる。おそらくわざとであろう。キョーコは池の中に腕輪を落として帰る。届けに行ったドワネルはその夜から急にキョーコと親しくなる。

キョーコはチューリップの中に愛の言付けを入れて、それが部屋の中で花びらを開き、クリスティーヌが読んでしまったから大変。ドワネルはホテル住まいをする羽目になる。このころからドワネルは自分の少年時代や青春、そして自分の身近な体験を文章にし始める。だが、キョーコとの愛は長続きしなかった。話すことのなくなったためにいたたまれなくなったドワネルはレストランの電話ボックスから何度もクリスティーヌに電話する。ようやく受け入れてくれたクリスティーのもとにドワネルは戻ることができた。二人は元のさやに収まる。(1970年)

Directed by François Truffaut Writing credits François Truffaut (scenario and dialogue) and Claude de Givray (scenario and dialogue) Cast Jean-Pierre L醇Paud .... Antoine Doinel / Claude Jade .... Christine Darbon Doinel / Hiroko Berghauer .... Kyoko (as Mademoiselle Hiroko) / Barbara Laage .... Monique / Dani醇Qle Girard .... Ginette リスニング;フランス語

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裸足の伯爵夫人 The Barefoot Contessa 2005/11/24

裸足の伯爵夫人華やかな女優の悲しい末路を描く。主人公は、雨の降りしきる中、訪れる人も少ない彼女の葬式に立ち会い、彼女の石像を眺めながら、デビューから死に至る波乱の、だが孤独な人生を思い出す。

ハリーはもう相当年のいった脚本家・監督でハリウッドではなかなかの名声を得ている。今回資本家マルドゥーンの資金で映画を作ることになり、宣伝担当のブラバーノと共に新人を探すためにはるばるマドリッドまでやってきたのだ。

だが、お目当ての酒場に行っても、フラメンコダンサーのマリアはすでに出番が終わったからと、会ってくれない。マルドゥーンはハリーに命じて、なんとしても彼女を説き伏せハリウッドに連れてこさせる。ハリーは彼女の家族が住む家まで行って、彼女が映画界に進出する意思があるかを尋ねた。ハリーにしてみれば、彼女を無理やりハリウッドの虚飾の世界に連れ込む気持ちはない。あくまで彼女のやる気を待ちたかった。

マリアは母親を憎んでいた。それが、デビューを承諾した理由なのかもしれない。一刻も早く家を出て自立したいと望んでいた。彼女にとって裸足になることは、あらゆる束縛からの自由を象徴していた。映画界に出たマリアは、ハリーの予想通り、たちまちにして世界的なスターになった。シンデレラといわれ、人もうらやむ地位に上がったマリアだった。

裸足の伯爵夫人ビバリーヒルズに大勢の人を招くパーティを開けるほどの財産もできた。だが不思議に彼女に恋人ができなかった。その美しい肉体とセクシーな魅力は世界中の男たちをとりこにしたにもかかわらずである。冷徹な資本家マルドゥーンは彼女を財政的に支配したかっただけだし、南米から来たプレイボーイは自分の装飾品にしたいだけだった。

そのうちに大事件が起こる。マリアの父親が母親を殺したのだ。マリアは弟ともに、父親のために勇敢に弁護に立ち、無罪を勝ち取る。心配されたスキャンダルになるどころか、かえってファンの共感を呼んだ。だが、日々の暮らしに孤独を深めたマリアはハリーに生まれ故郷のマドリッドの雑踏が懐かしいともらすのだった。

ある日、イタリアとフランスの国境近くに住む伯爵のファブリーニは眠れぬ夜を逃れるため高級車でリビエラの海岸にドライブするのが常だった。ある日、車を止めたところで、地元の人々に混じって踊っているマリアを偶然目にする。すっかり彼女に惹かれたファブリーニはその夜カジノで再びマリアに会い、自分の車に乗せて屋敷まで連れて行く。

ファブリーニは夫に死なれた妹と二人暮しで、このままで行けば残す子孫もなく、彼らの家は絶える運命にあった。妹はファブリーニがマリアと結婚する話には賛成したくない。ファブリーニは戦争で下半身をやられており、その話をマリアにしないまま結婚式に持ち込んでいこうという気だったからだ。やがて結婚式が執り行われ、ハリーも招かれるが、彼女の未来にすでに一抹の不安を感じていた。

新婚旅行がおわってしばらくして、マリアが雨の中をハリーの部屋に訪ねてきた。初夜に、自分がファブリーニの体の事をはじめて知らされたこと、今後もできる限り耐えていくつもりであること、そして屋敷の使用人の男たちと交わって、自分が妊娠したことを告げる。彼女が自分の車で去って行った後、もう一台の車が尾行しているのに気づいたハリーは自分も大急ぎでその後を追う。だがファブリーニの屋敷に着いたとき、2発の銃声が聞こえた・・・マリアが自分の母親と同じ運命をたどるとは・・・(1954年)

Directed byJoseph L. Mankiewicz Writing credits Joseph L. Mankiewicz Cast Humphrey Bogart .... Harry Dawes / Ava Gardner .... Maria Vargas リスニング;英語、ただしスペインやフランス、イタリアではそれぞれの言葉が少し混じる。

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気狂いピエロ Pierrot le fou 2005/12/04

駆け落ちした男女の逃避行。だが、女は殺され男は自爆する。全編が、男の独白によってつながっている。最初の部分を除いて、男と女の会話だけで成り立つ。

パリに住むフェルディナンドは雑誌社をクビになったばかり。元々詩作や散文の才能があるのだが、認めてもらえない。嫌々ながら妻につきあってパーティに出かけるが、途中で退屈しきってひとりで出てきてしまう。家に戻ると、娘の子守をしてくれているマリアンヌがいた。

マリアンヌは昔惚れた相手だったが、その後別れ今こうして偶然にフェルディナンドの前に現れたのだった。意気投合した二人は、何もかも忘れてパリを脱出する。南へ、そしてイタリアへ向かうのだ。

だが二人には金がない。ガソリンスタンドでは料金を踏み倒し、語りやパントマイムの大道芸をやってかねを稼ぐ。警察から逃れるために、自分たちの乗っていた車に火を付けて事故死したように見せかける。やがてどこかの車を盗んでひたすら地中海の見えるところまでまっしぐらに進む。

フェルディナンドは実はマリアンヌのことを詳しくは知らない、というよりは彼女の過去のことは何も知らないのだ。マリアンヌはフェルディナンドのことを何回言い直されてもピエロと呼び続け、本名を呼ばない。

海岸にたどり着いた二人は、車を海に沈め、人知れぬ場所で、魚を捕ったり野菜を作ったりして自給自足的な生活をはじめる。ときに人々の前で二人は芸をしてみせ、稼いだ金は、ピエロの読む本を買うのに使った。

だがマリアンヌは次第にその生活にたまらなくなってきた。冒険を求めて外に出るようになった。どうやら彼女の兄が金を持っていて、その分け前をもらえるらしい。だが、彼女のまわりには悪漢どもが取り巻いていた。

彼女が入っていったアパートの中で一人の男が殺される。助けに行ったピエロは危ういところで見知らぬ男たちに殺されるところだった。同時にマリアンヌは突然姿を消してしまう。

再びピエロがマリアンヌに会えたのは、どこかの港町だった。武器の密輸に関わる集団に巻き込まれ、マリアンヌは島の中で拳銃に撃たれてピエロの目の前で死ぬ。ピエロは自分の身体にダイナマイトを巻き付けて火を付けた。しまったと思い直して急いで導火線の火を消そうとしたが、間に合わず・・・(1965年)

Directed by Jean-Luc Godard Writing credits Jean-Luc Godard Cast:Jean-Paul Belmondo .... Ferdinand Griffon, 'Pierrot' (as Jean Paul Belmondo) / Anna Karina .... Marianne Renoir / Graziella Galvani .... La femme de Ferdinand リスニング;フランス語

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五月のミル Milu en mai 2006/01/10

5月のミル五月革命の騒ぎを背景に、都会に出ていって暮らす孫や子供たちが、葬式によって田舎暮らしを楽しむ主人公のもとに一堂に会した場面を通して、コミカルなフランス版「東京物語」を描いて見せている。

ミルおじさんはフランスの田舎に暮らす。自分の母親、お手伝いのアデルと3人で、田園に囲まれた大きな家に住んでいた。だが、ある晴れた日、ミルがミツバチの採集にいそしんでいるとき、母親は心臓発作を起こして急死してしまう。

遺体は書斎に安置され、ミルの娘とその三人の子供たち、、孫たちが続々と集まってきた。ところがこの年の5月、パリでは学生と労働者たちによる「五月革命」が突発し、ストライキやデモ行進の波は地方にも波及してきたのだ。

すでにガソリンの販売は制限され、停電も頻繁に起こり、葬式のための食料も買い出しが思うに任せない。そして何よりも、葬式屋までがストライキに入ってしまったのだ。まだ早春とはいえ、遺体を3日以上も置いておくわけにはいかない。

さて、孫や子供たちの最大の関心は言うまでもなく遺産相続。ミルおじさんを含めて3人の相続人に平等に分配するため、すべてを売り払ってしまおうという提案に、ミルおじさんは怒り心頭に達する。しかも弁護士が預かっていた遺言によれば、お手伝いのアデルも相続人に指定されていたため、4分の1ずつに分けることになった。

家の中は大騒動で、食器や絵画や書物が引っぱり出されたが、それはいずれも大した価値のないもので、二束三文で引き取られる運命にあった。孫娘が連れてきたダンサー志望、トラックの運転手の助手も加わり、葬式が延期されたので、みんなは大きな家に一緒に寝食を共にすることになる。

5月のミルしかも葡萄畑といい、ザリガニの取れる池といい、素晴らしい自然環境である。都会生活に疲れた人々はみんなのびのびとし始めた。そのためすっかり意気投合し、あちこちでカップルが誕生するありさま。レスビアンの娘が、自分の胸をはだけて男に触らせる。遺体を前に、みんなでダンスをするのだった。ついには娘は上半身裸になった。

そこへ近所の人が「革命軍」攻撃のデマを持ってやってきた。おちおちしていると家に火を付けられ殺されるかもしれないと聞かされた、アデルを除く全員は屋外に避難する。

野山で疲れ果て、雨で濡れネズミになった一行は、ようやく犬を連れたアデルに発見され、何ともなかった家に舞い戻る。混乱を極めたあとで、ド・ゴール大統領は政界に復帰した。革命は収まったようだ。庭の大木のもとに墓穴が掘られ、ミルの母親はそこに無事葬られた。

葬式が済むと、参加者はみなそれぞれの家に帰ることになる。お別れの挨拶が済み、家具類が処分されて大きながらんとした家に残されたのは、ミルおじさん一人だった。(1990年)

Directed by Louis Malle Writing credits Jean-Claude Carrière / Louis Malle Cast: Miou-Miou .... Camille / Michel Piccoli .... Milou / Michel Duchaussoy .... Georges / Bruno Carette .... Grimaldi / Paulette Dubost .... Mrs. Vieuzac / Harriet Walter .... Lily / Martine Gautier .... Adele / Rozenne Le Tallec .... Marie-Laure / Jeanne Herry .... Françoise (as Jeanne Herry-Leclerc) リスニング;フランス語、大勢の出演者によるさまざまな話題が戦わされる。

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雨あがる 2006/01/18

雨あがる山本周五郎の原作の映画化だが、脚本は、多少ともハッピィ・エンド的になっている。すべてが人を押しのけての世界の中でよくを持たない人の生き様を描いた実にシンプルな作品なのだが、複雑な仕掛けや手の込んだストーリーなしでも観客にストレートに伝わる流れである。

浪人の三沢伊兵衛は剣の達人である。だが、宮仕えが下手で人から妬まれることが多かったために、日本中転々としながら、定職が見つからない。ある河が、連日の大雨で増水してしまい、安宿に泊まった人々は何日も閉じこめられることになった。

貧乏人の間にイライラから喧嘩が起こりそうな雰囲気に、伊兵衛は妻から固く禁じられている賭け試合をやってそのお金でみんなに御馳走を振る舞う。人々は感激し、日頃の辛い生活の憂さを晴らす。

やがて雨があがり、人々は宿を出ていったが、散歩中の伊兵衛は若い侍同士の争いを止めてその領地の殿様に呼ばれる。御前試合ではまったくの敵なしで藩の剣術指南番にいったんは内定するのだが、賭け試合のことが知れてそれは取り消しとなる。だが、藩の偉い人の前で伊兵衛の妻が夫について述べた言葉に感心した殿様はすぐに二人を引き戻すようにと家来に命じるのだった。(2000年)

監督: 小泉堯史 原作: 山本周五郎 脚色: 黒澤明  キャスト(役名)寺尾聰(三沢伊兵衛) 宮崎美子(三沢たよ) 三船史郎(永井和泉守重明) 吉岡秀隆(榊原権之丞) 原田美枝子(おきん) 仲代達矢(辻月丹) 檀ふみ(奥方) 井川比佐志(石山喜兵衛) 松村達雄(説教節の爺) 加藤隆之(内藤隼人)

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The Count of Monte Cristo モンテ・クリスト伯 2006/01/19

モンテ・クリスト伯かつて、「厳窟王」の名前で紹介されたフランスの代表的復讐小説の映画化。数多くのアクション、冒険小説が生み出されたが、これほど手に汗を握る筋立てはそう多くはあるまい。

1814年、商船の乗組員である若きダンテスは、その手腕を買われてマルセイユにある船会社から、船長の地位を与えられる。メルセデスという婚約者もいて、彼の人生はこれから順風満帆というところだった。

だが、彼の出世を妬む者たちがいた。航海で友人となったフェルナンド、一等航海士らだ。彼らは先の航海で船長が病死したおり、エルバ島に立ち寄ったのだが、ダンテスはひそかにナポレオンから、マルセイユにいる彼の信奉者への手紙を預かっていた。

フェルナンドはそのことをマルセイユの行政官に密告して、ダンテスはいきなり捕らえられてしまった。行政官は自分の保身のためにもダンテスを2度と脱出することのできないイフ島の監獄に閉じこめることにしたのだ。

ダンテスは13年間ここにいることになる。幸いなことに脱出のために地下トンネルを掘っていた同じく囚人のフェリア司祭が、ダンテスの独房の床から頭を出し、それ以降は二人で協力して脱出の努力を続けるのだった。

フェリア司祭は、ダンテスに読み書きを教え、さまざまな学問の初歩や剣術も教えた。トンネルの地盤が崩れフェリア司祭は財宝のありかを教えたのちに死ぬ。ダンテスは死体を入れた袋に入って断崖から落とされて脱出に成功する。

モンテ・クリスト伯泳ぎ着いた砂浜にいた密輸団に入り、命を助けてやったジャコポはダンテスの忠実な召使いとなった。マルセイユに帰り着くとさっそく復讐の計画を実行に移した。地中海の小島、モンテクリスト島には莫大な財宝が隠されており、ダンテスはその島にちなんだ伯爵になりすまし、パリの近くに大邸宅を買い込む。

園遊会を催し、フェルナンドや今や検事総長になったかつての行政官と近づきになる。フェルナンドの息子アルベールがローマに遊びに行っているときには、仲間に彼を襲わせ、自分が助ける芝居をくんだ。こうして母親であるメルセデスにも出会った。メルセデスはすぐにかつてのダンテスに気付いた。

欲が深い一等航海士には罠を仕掛け、港でのモンテクリストの財宝をわざと横領するようにさせる。彼は警察に現場を押さえられ御用となった。検事総長は、かつて保身のために熱烈なナポレオン派である、フェルナンドの父親を殺したかどで逮捕されることになる。

残ったフェルナンドには古城に来させて最後の決着をつける。実はアルベールがダンテスの子であることが明らかになった。メルセデスはダンテスが投獄されたのち自分の妊娠に気付いたので、すぐにフェルナンドと結婚したのだ。フェルナンドを決闘で倒して、ダンテスの復讐はようやく終わりを告げる。(2002年)

Directed by Kevin ReynoldsWriting credits (WGA) Alexandre Dumas pére (novel) Jay Wolpert (screenplay) Cast: James Caviezel .... Edmond Dantes/Count of Monte Cristo (as Jim Caviezel) / Guy Pearce .... Fernand Mondego, Count of Morcerf / Richard Harris .... Abbé Faria, Edmond's d'If Mentor / James Frain .... J.F. Villefort, Chief Magistrate / Dagmara Dominczyk .... Mercedés Iguanada / Michael Wincott .... Armand Dorleac / Luis Guzmán .... Jacopo the Maggot, Monte Cristo's Valet / Christopher Adamson .... Maurice / JB Blanc .... Luigi Vampa / Guy Carleton .... Mansion Owner / Alex Norton .... Napoleon / Barry Cassin .... Old Man Dantes (Edmond's Father) / Henry Cavill .... Albert Mondego, Mercedés' Son リスニング;英語、登場人物が多いので、名前をしっかり覚えねばならない。

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The Unbearable Lightness of Being 存在の耐えられない軽さ 2006/01/22

存在の耐えられない軽さ「軽さ」は主人公、トマスの人柄だ。彼にとって愛することとセックスをすることはまったく別のことであり、後者においては彼はまるで自転車に乗るかのように次々と乗り換え乗り捨てる。一人の人間の生き方なんて実にちっぽけなもの。だが、一方で人生は訂正も補足もきかない一回きりのものであるのだ。

1968年のプラハは、「プラハの春」と呼ばれ、自由主義的な雰囲気が満ちあふれていた。トマスは病院の優秀な脳外科医で、毎日手術に忙しい。若い女とあれば誰にでも手を出していたが、特にアーティストのサビナとは仲が良かった。だが、ある日出張先で知り合った写真家志望の若い娘テレザと知り合い、彼女がプラハに仕事を探しに来たときから、彼のアパートに住みふたりは結婚した。

トマスは共産党を揶揄する論文を書いて雑誌社から掲載する旨の通知があったのだが、8月のある夜、突然ソ連軍がプラハ市内に突入する。こうして自由化運動は失敗に終わり、サビナはジュネーブに亡命。戦車が市内を蹂躙する中、テレザは必死で写真を撮るが、生命の危険を感じて、夫婦でやはりジュネーブに亡命することになる。

スイスのサビナはイタリアの男と知り合うが、再びトマスと寝て、テレザは一人でプラハに戻ってしまう。サビナはアメリカ行きを決心し、完全に彼女と縁を切ったトマスは、再び入国すればパスポートを没収されることを覚悟で、再びテレザの元に戻った。

存在の耐えられない軽さだが、チェコではすっかり臆病者たちが息を潜める社会になってしまい、トマスにもソ連軍侵入前に発表した論文の撤回を迫る圧力が加わる。だがトマスはテレザの同意もあってにきっぱり拒否し、医者の仕事を失う。

トマスは窓拭きの仕事を始めたが、「軽さ」は変わらない。テレザは自分も軽くなろうと思ったが、行き詰まりを感じ、かつてのトマスの患者であった男の農場に二人で引っ越す決心をする。

愛犬をガンでなくしたが、農場の生活は二人の性にあった。だが、農場主とみんなで遠く離れた酒場に飲みに行った帰り、夫婦はやっと幸福を握りしめたと感じた矢先、交通事故で即死する。(1988年)

Directed by Philip Kaufman Writing credits (WGA) Milan Kundera (novel) Jean-Claude Carrière (screenplay) Cast : Daniel Day-Lewis .... Tomas / Juliette Binoche .... Tereza / Lena Olin .... Sabina / Derek de Lint .... Franz リスニング;きわめて聞き取りやすい国際英語。

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Touchez pas au grisbi 現金に手を出すな 2006/01/26

現金に手を出すなマックスはパリの暗黒街の顔役の一人である。だが、最近は寄る年波もあって引退を考えていた。老後の資金にしようと最後にやった仕事は金の延べ棒を盗み出すことだった。これは成功し自分の乗用車のトランクに入れておいた。

ところが20年来のつきあいであるリトンはどうもへまばかりしている。今回も世間では大騒ぎになっている金の延べ棒の行方を、女関係を通してちんぴらたちに漏らしてしまったらしい。

ちんぴらたちは、リトンを誘拐して金のありかをただそうとしていた。マックスはせっかくの計画がフイになってしまったことを腹立たしく思いながらも、リトンを見捨てるわけにはいかない。腹心のピエロを伴い、金塊を持ち、機関銃を持ってチンピラたちの指定した場所に向かった。

取引自体は無事済んだ。リトンは無事戻ったが、苦労して盗んだ金塊は取られてしまった。帰途につく途中、予想していたことが起こる。ちんぴらたちは2台の乗用車で来ており、残った一台の方が戻ってきたのだ。とっさにマックスは長年の経験から仲間たちに車から降りて伏せるように命令した。

現金に手を出すな敵は、彼らの車に手榴弾を投げ込んだ。すかさずマックスたちは機関銃で応酬し、敵を皆殺しにした。だがもう一台の車がやってくる。これをまた機関銃で攻撃する。敵の車のタイヤに撃ち込み、車は転覆炎上した。炎の勢いは強く、金塊を積んであるはずだが、車に近づけない。しかも向こうから一般人の車がやってきた!

マックスは自分のぶんどり品を完全にあきらめるしかなかった。しかも先の銃撃戦で、リトンは傷ついていた。家に連れ帰って医者に処置をしてもらったのち、自分が事件とは無関係だということを示すため、行きつけのブーシュの店に美女を伴って現れて、悠々と朝食を食べる予定だった。

店では炎上した車に金塊が発見されたニュースでみんなが大騒ぎをしているところだった。マックスは気になってリトンの容態を電話で尋ねる。リトンは死んだ。金も失い、長年の仲間も失った。ジュークボックスで古い曲をかけながらマックスは物思いにふけるのだった。(1954)

Directed by Jacques Becker Writing credits Jacques Becker Maurice Griffe Cast Jean Gabin .... Max le menteur / René Dary .... Henri "Riton" Ducros / Jeanne Moreau .... Josy / Dora Doll .... Lola / Gaby Basset .... Marinette / Denise Clair .... Madame Bouche / Michel Jourdan .... Marco / Daniel Cauchy .... Fifi / Jean Riveyre .... Le garçon du Moderna / Paul Frankeur .... Pierrot / Paul Oettly .... Oscar / Delia Scala .... Hughette / Marilyn Buferd .... Betty (as Marilyn Bufferd) / Lucilla Solivani .... Nana / Vittorio Sanipoli .... Ramon リスニング;フランス語

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A Clockwork Orange 時計じかけのオレンジ 2006/01/30

時計じかけのオレンジ暴力青年が捕まっておかしな心理療法を受けて出所した顛末を語る現代のSF的寓話。年々増える青少年の暴力行為は社会が悪いのか?それとも彼らが自分で判断している以上、責任を負わせるべきか?いや、彼らの脳を改造して暴力を振るう能力を奪ってしまう方がいいのか?

現代社会に生きるアレックスは部下の3人を連れて深夜の大都会を暴れ回る。浮浪者を叩きのめし、女に暴行しようとしていたチンピラ仲間を襲って重傷を負わせ、郊外にある裕福な家に押し入って、夫の目の前で妻を強姦する。

家に帰れば両親との3人暮らしで、自分の部屋でベートーベンの第九を聴くことが何よりも楽しみだ。このところ学校にも顔を出していなくて補導担当の教師がやってくるのだが、犯行の決定的証拠がなく捕まえることもできないでいる。

アレックスの横暴な態度に3人の部下は反乱をたくらむが逆に叩きのめされてしまう。次の晩に押し入った「猫屋敷」では、2階から一人侵入したアレックスは女主人と遭遇し、向かってきた彼女に置物をたたきつけて死なせてしまう。不審に思って前もって彼女が警察に電話をしていたのと、部下の裏切りにあってアレックスはあっけなく逮捕される。

裁判の後、アレックスは14年の刑を食らって刑務所生活をはじめることになった。囚人たちを更生させる効果などまったくありはしない2年が過ぎたころ、自分を気に入ってくれた牧師の口から、暴力を行わなくする心理実験の話を聞かされる。これを受けるとすぐに出所できるのだという。

時計じかけのオレンジたまたま刑務所を視察に訪れた新任の大臣の目に留まったアレックスはすぐに研究所に送られ、実験台となる。謎の薬を注射された後、まばたきも身動きもできない座席で長時間暴力映画を強制的に見させられるのだ。直ちに効果が現れ、自分が暴力的行動に出ようとするとただちに吐き気を催すようになった。

他人に対して暴力を振るったり、女を襲ったりすることはもうないと確認されたところでアレックスは釈放される。だがシャバの空気は冷たかった。両親の家には下宿人がいて、自分の住むところはなく、街に出るとかつて叩きのめした浮浪者と偶然出会い老人たちに殴られ蹴られたが実験の効果のせいで立ち向かうこともできない。

そこに現れた警官は何と昔の部下。森の中に連れ込まれ水の中につっこまれて再び殴られる。大雨が降ってきて近くの家に逃げ込んだが、これがなんとかつて妻を目の前で強姦された男の家だった。この事件後に妻は死に、代わりに屈強な男がボディガードとして雇われていた。

この男は作家だったが、アレックスがかつての強姦魔と気付くと、実験の結果が世間で大きな議論を呼び現政権が非難の的になっているところから仲間のジャーナリストを呼んでアレックスの利用法を考える。作家はアレックスが第九交響曲を聴いても吐き気を催すことを知って、部屋に閉じこめて大音響でこの曲を聴かせる。

気が狂いそうになったアレックスは、窓から外に身を投げて自殺を図るが、重傷ながら病院のベッドで意識を回復した。ようやく退院の日が近づいてきた頃、人間の自由意思を奪う心理実験をアレックスに施したとして非難の渦中にある大臣が見舞いに訪れる。

アレックスが元気を取り戻したところで、自分たちの政権を救うために、一肌ぬいでほしいのだと大臣は言った。これからの生活は保障すると。如才ないアレックスは快く引き受ける。大臣からの快気祝いだとして備えられたステレオから第九が流れて来るではないか!だがまったく平気だ。(なおったのだ!・・・ということはまたかつての暴力癖がもどったのかもしれない・・・)(1971年)

Directed by Stanley Kubrick Writing credits Anthony Burgess (novel) Stanley Kubrick (screenplay) Cast : Malcolm McDowell .... Alexander 'Alex' de Large / Patrick Magee .... Mr. Alexander / Michael Bates .... Chief Guard / Warren Clarke .... Dim / John Clive .... Stage Actor / Adrienne Corri .... Mrs. Alexander / Carl Duering .... Dr. Brodsky / Paul Farrell .... Tramp / Clive Francis .... Lodger / Michael Gover .... Prison Governor / Miriam Karlin .... Catlady (Miss Weathers) / James Marcus .... Georgie / Aubrey Morris .... Mr. P. R. Deltoid / Godfrey Quigley .... Prison Chaplain / Sheila Raynor .... Mum リスニング;若者言葉と言えばいいのか、主人公独自の口癖が混じる。字幕でも翻訳不可能なので、カタカナ表示だ。ただし何度も同じものが出てくるので、おのずとその意味するところがわかってくる。たとえば horatio など。

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遥かなる山の呼び声 2006/02/01

ここは根釧原野。牛飼い女の民子は夫を病気でなくした今、親戚や友達は牧場を売って、身軽になった方がいいというが、まだ小学生低学年の息子、武志と共に牧場を守っている。

冬のある日、猛烈な雨が吹き荒れる中、ガラス窓をノックする男がいた。全身ずぶぬれで今夜どうしても泊めてもらいたいという。気持ちが悪いとは思いながら、追い返すわけにもいかず、民子はその男を牛のいる納屋に泊めてやる。

深夜、牛の一頭が産気づいた。民子はその男に手伝ってもらい、その雌牛は無事子牛を産んだ。翌朝男は出ていったが、武志の渡すお金をいったん断ったものの、最後には受け取って鉄道線路沿いに去っていった。

それから半年後、この男が突然民子の牧場に現れた。仕事をやらせて欲しいのだという。女一人の牧場経営に疲れ切っていた民子は、ぜひ手伝いがほしかった。きわめて口数が少なく身の上話もほとんどしないので気持ちが悪いとは思いながらも、納屋に寝泊まりしてもらうことにした。

かつて牧場で働いたこともあって、この田島という男はとても役に立った。柵作りからトラクターの運転までどんどんやってくれたし、武志もなついた。民子に再婚を迫る近所の虻田と二人の弟を追い払ったどころか、逆に味方につけてしまった。

民子はある日腰を痛め緊急入院する。2週間ほどの間、田島はきちんと牧場を維持してくれていたし、何よりも武志が田島を父親代わりにすっかり信頼しているのだった。その姿を見て、民子は田島にある種の感情を持つ。

納屋に民子の亡き夫の使っていた乗馬用の鞍を見つけると、田島は馬に乗ることに熱心になり、武志にも乗り方を教える。そして地域の草競馬大会に出場して見事1位を獲得した。だが、そこに近づいてきたのは刑事だった。

かつて借金取りに追われ自殺した妻に対して葬式の席で金貸しを殴って死なせた田島は、警察に追われていたのだ。そのために兄も仕事を失い、田島自身もこのような人のいない地域に逃げ込んできていたのだ。だが競馬に出場したばかりに顔を知られてしまった。

民子はその夜から田島に母屋に寝泊まりしてもらうつもりでいた。明日の朝この牧場を出ていくときき、仰天するが、牛が一頭容態が悪化し獣医による手術を行うという騒動の中で、やっとのことで自分の気持ちを田島に伝える。

翌朝牧場の前にはパトカーが待っていた。民子と武志の見守る中、田島を乗せたパトカーは地平線の向こうに消えていった。裁判が行われ、田島は2年間は網走刑務所に送られることになった。田島を護送する列車は民子の住む村の駅に止まった・・・(1980年)

監督: 山田洋次 脚本:山田洋次 朝間義隆 キャスト(役名):高倉健(田島耕作)倍賞千恵子(風見民子)吉岡秀隆(風見武志)鈴木瑞穂(島田駿一郎)ハナ肇(虻田太郎)神母英郎(虻田次郎)粟津號(虻田三郎)武田鉄矢(勝男)木ノ葉のこ(佳代子)小野泰次郎(福士)渥美清(人工授精師)

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Le signe du lion 獅子座

イソップに、蟻とキリギリスの物語があるが、これは「懲りない」キリギリスの物語。セーヌ川を中心にしたパリの風景がふんだんに映し出され、バイオリンの演奏は非常に憂鬱な響きだ。主人公が浮浪者になってゆくシーンは目を覆う。観客を喜ばせることが第1のハリウッド映画では絶対にできないだろう。

独身でものぐさな、30代過ぎの自称音楽家、ピエールはパリの自分のアパルトマンで朝寝坊をしているときに電報配達にたたき起こされた。電文は、叔母の死を告げていた。叔母は大金持ちで自分と従兄弟の二人に大変な財産が転がり込むはずであった。

すっかり気をよくしたピエールは、雑誌社パリマッチに勤める友だちやらその女友だちやら、友人をかき集めて一大パーティを開く。ただし自分の持ち金はないから記者の一人に5万フランを前借りした。

友だちは多くみんな親切だが、ピエール自身は怠け者で、まともに働く気がないから、今度の相続の話に有頂天になっていた。パーティで酔ったあげく自分は獅子座の生まれで、金星と相性がいいからと銃を持ちだして空をめがけて発砲したりした。

パーティの後、バカンスの季節がやってきた。友人たちはみな仕事に励んだり、バカンスに出かけたりしていった。ピエールと言えば、叔母の遺言は従兄弟だけに財産が送られ自分には一銭ももらえなかった。しかも自分の住んでいたアパルトマンは売りに出され、部屋を退去しなければいけない。

はじめのうちは友人に借金をしたり、ホテル代を踏み倒したりしていたが、ついにホテルも追い出され友人たちも仕事やバカンスでパリからいなくなってしまうと、ピエールは本当に困ってしまった。食べる物もなく、仕事を見つける気もなくただパリの街をさまよい歩く。

市場で盗もうとして危うく捕まりかけたり、親切な女主人に9フランのパンを6フランで売ってもらったりしたが、野宿を重ね2日、3日とするうちに空腹と疲労でほとんど動けなくなってしまった。しかも彼にはそこら辺の浮浪者や乞食のような生活力さえ持っていない。

もしセーヌの岸辺で親切な浮浪者に出会わなかったらそのまま行き倒れてしまったかもしれない。この浮浪者の乳母車に乗って二人はカフェの前でちょっとした芸をしたりして小銭をかき集めた。

そのころ、財産を受け継いだピエールの従兄弟は街道で不慮の事故死を遂げる。公証人はピエールにその相続権を認めたが、浮浪者になって以来まったく行方不明である。友人たちはようやく、あるカフェで芸をしているピエールたちを発見した。

ぼろぼろになった服を着てすっかり髭面になったピエールに相続のことを告げると、それまでの惨めな様子はどこへやら、突然威勢よくなったあげくみんなにおごってやるぞとわめきはじめた。(1959年)

Directed by Eric Rohmer Writing credits Paul Gégauff (dialogue) Eric Rohmer Cast: Jess Hahn .... Pierre Wesselrin / Michèle Girardon .... Dominique Laurent / Van Doude .... Jean-François Santeuil / Paul Bisciglia .... Willy / Gilbert Edard .... Michel Caron / Christian Alers .... Philippe / Paul Crauchet .... Fred / Jill Olivier .... Cathy / Sophie Perrault .... Chris / Stéphane Audran .... La patronne de l'hôtel / Jean Le Poulain .... Le clochard リスニング;フランス語

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Sous les toits de Paris 巴里の屋根の下 2006/02/9

青春の甘酸っぱい物語はハッピィエンドであってはいけない。それは観客におもねるだけだ。人生の真の姿を何時までも見る人の心に焼き付けるには、少し悲しい終わり方をしたほうがよい。「ラ・ボエーム」のような戦前の巴里の雰囲気があふれた佳作。

アルベールはパリの下町で流行歌を広める歌手だ。今日も盲目のアコーディオン弾きに伴奏を頼み、歌好きの人々に「巴里の屋根の下」という歌を教えていた。楽譜と歌詞の書かれた紙を1フランで売ることによって生計を立てている。

群衆の中に出没するスリの被害を助けたことから、アルベールはルーマニア出身の娘、ポーラと知り合いになる。だが、彼女にはすでにビルという男友達がいるらしい。

その夜も親友のルイと居酒屋で飲んでいるとフレッドと連れ立っているポーラが現れた。アルベールはその時はあきらめたものの、ルイと別れて一人で街角に佇んでいると、ポーラが泣きながら店から出てくるのが見えた。フレッドに部屋の鍵を取られて帰れないというのだ。

アルベールはその晩、彼女を自分の部屋に泊めてやる。ベッドが一つしかないから床の上に寝たりでいろいろもめたあげく、ようやく朝が来た。友人が一人やって来て旅に出るから大きくて重たいカバンを預かってくれという。

ポーラとすっかり仲良くなったアルベールは彼女に結婚を申し込む。彼女は承諾して自分の部屋に戻りにもつをまとめてやって来ると、アルベールは警察に引き立てられられていくところだった。あの大きなカバンの中には銀製品が詰まっていたのだ。

再びひとりぼっちになったポーラはルイに慰められ、次第に彼が好きになってゆく。本当の泥棒が捕まり、アルベールはようやく拘留から釈放される。だが、部屋にビルから、ポーラから手を引けさもないと・・・という内容の手紙が差し入れられていた。

ビルはスリたちのボスであり、停車場でビルとアルベールは決闘をする。ポーラの知らせで駆けつけたルイは、混乱の中でアルベールを助け出し、スリたちはみんな警察に検挙された。

ようやくアルベールはポーラと晴れて一緒になれると思いきや、ポーラはルイのもとに駆け寄る。自分のいない間に親友にポーラを取られてしまったアルベールは・・・(1930年)

Directed by René Clair Writing credits René Clair Cast: Albert Préjean .... Albert, a young street singer / Pola Illéry .... Pola, a Roumanian girl / Edmond T. Gréville .... Louis, Albert's friend / Bill Bocket .... Bill, The Big Boss / Gaston Modot .... Fred, a purse thief リスニング;フランス語・サイレント映画ではないのだが、セリフが少なく音楽中心の構成。主題歌はシャンソンのスタンダードナンバーになった。

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晩菊 2006/2/14

若いころは、恋愛にビジネスに大活躍した芸者たちも、歳をとるとその身の振り方はさまざまだ。倉橋きんは、貯蓄と財産形成に余念がない。唖(おし)の若い女の子をお手伝いに雇い、不動産業者の板谷が、良い物件を勧めると見に行ったり、あちこちに小金を貸してはその利子を取り立てている。

一方、鈴木とみは少しも経済観念がない。掃除婦をしたりしながらも競馬や競輪にも金を費やしてしょっちゅうお金がなくて、娘の幸子にもいやがられている。とみと同居しているのが小池たまえである。こちらも日頃の体調がさえず寝たり起きたり。収入が足りないためにきんからも金を借りて滞納している。息子の清は、なかなか就職先が見つからないうえに年上の女を愛人にしているという。。

こんな連中を軽蔑しつつも、金は毎日のように借金の取り立てにまわり、まるでお金がすべてであるようにまわりから思われている。彼女の哲学はもうだれも頼れる人もいないのだから、自分がしっかりして老後の生活をきちんと今から準備しておくべきだというのだ。

とみの娘幸子が突然結婚すると言い出す。相手が自分を大好きだと言ったからためらわずにお嫁に行くという。とみはおろおろするばかり。同時にたまえのほうは息子の清が北海道の炭坑に就職するのだと言い出す。たまえもおろおろするが、息子がもう決めてしまってどうにもならないことだ。

きんの家にかつて二人で無理心中(未遂)した相手である関が訪ねてくる。彼は刑務所に入って出てきて、今度は金に金を貸してくれるように頼みに来たのだった。ぞっとしたきんはさっさと関を家から追い出す。

そこへ田部から手紙が来る。彼は若い頃大変な美男子で、きんもぞっこん惚れて広島まではるばる何度も会いに行ったこともある。引き出しにしまってある彼の若き頃の写真をながめてきんは青春時代の情熱を思い出すのだった。

ところが実際に目の前に現れると、あの青年は平凡な中年男に変わっていた。そしてウィスキーをしたたか飲んで勢いがつくと、きんにむかって何と借金の申し込みをはじめたのだ。すっかり幻滅を感じたきんは翌朝さっさと出ていってもらう。そして男がみんなまったく頼りにならないことをますます実感するのだった。

とみもたまえも同病相哀れみあい、酒を飲んで愚痴を言い合うが、やはり人生で子供は産んでおいてよかったのだと意見が一致する。翌朝二人は清の乗った列車が上野駅を出発して行くところを見送るのだった。(1954年)

監督: 成瀬巳喜男 原作: 林芙美子 脚色: 田中澄江 井手俊郎 キャスト(役名)杉村春子(倉橋きん)見明凡太朗(関)上原謙(田部)加東大介(板谷) 鏑木はるな(静子)細川ちか子(小池たまえ) 小泉博(小池清) 坪内美子(岩本栄子)望月優子(鈴木とみ)有馬稲子(鈴木幸子)

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浮雲 2006/02/13

腐れ縁の男と女。単なるメロドラマではなく、地の果てまで男を追いかけてゆく女のひたむきさがやがては悲劇に導かれるが、その後の判定をするのは観客である。

戦時下のボルネオで農林省関係の仕事をしていた富岡のもとへ内地から一人の若い女幸田ゆき子がやってきた。実の兄、明の暴行からのがれるためにやって来たゆき子は、富岡と恋に落ちる。ボルネオでのロマンスは甘美で二人は心から愛し合った。

だが終戦で東京に戻った富岡には母と妻があり、仕事探しが待っていた。同じく日本に戻ってきたゆき子はどうしても会いたくて富岡の住まいを訪れる。だが彼は家族のことを話し、ゆき子との別れを提案する。

喧嘩別れした後、生活費を得るためにパンパンをしていたゆき子のもとに再び富岡が訪れる。毒舌家の富岡と男を突き放すように見えて実はすっかり富丘に心は捉えられているゆき子は男と女の地獄に落ちてゆく。二人ではルナ温泉に止まるが、親切にしてくれた宿屋の主人の若き妻、おせいに富岡は手を出す。しばらくしておせいが東京に逃げ出し暮らしていたアパートに富岡が転がり込んでいるのをゆき子は発見するが、富岡は悪びれるところがない。

富岡がさらにほかの女に手を出すたびに二人の間は離れるが、いつのまにか再びいっしょになるのだった。おせいは実の夫に殺される。富岡の妻が胸の病気で死ぬ。

これでやっと晴れて二人は一緒になれるはずなのに、富岡はそのそぶりはみせず、今の出版社の仕事をやめて屋久島へ行き、そこで森林の仕事をすると言い出す。この途方もない計画を聞いたゆき子は自分も連れて行ってくれと言い出す。

だが、渡航を前にして鹿児島の港でゆき子は病に倒れる。富岡は看病をして、何とか屋久島に向かう。雨の降り止むことのないこの島の暮らしが彼女の体にいいわけがないのだが、「あなたのそばで死ねたなら本望よ」とつぶやくのだった。(1955年)

監督: 成瀬巳喜男 原作: 林芙美子 脚色: 水木洋子 キャスト(役名)高峰秀子(幸田ゆき子)森雅之(富岡兼吾)中北千枝子(妻邦子)木村貞子(母)山形勲(伊庭杉夫)岡田茉莉子(おせい)加東大介(向井清吉)瀬良明(太田金作)

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めし  2006/2/11

岡本初之輔と三千代は5年前に結婚した。子供はまだない。初之輔は証券会社に勤め、東京から大阪に転勤になったため、三千代とともに大阪に引っ越してきてしばらくたつ。だが最近の三千代は不満がいっぱいだ。夫は仕事に忙殺されかえりは遅いし、家事は一切手伝うことなく、おいめし、という言葉で美千代は朝から晩まで洗濯、炊事に追われている。

自分はいったい何のために結婚したのかわからなくなる日々だった。つい母親と妹夫婦の住む川崎の実家が懐かしく思い出されてしまう。初之輔は三千代にやさしいのだが、妻が生活に疲れていることを察してくれようとしない。そこへ突然東京から初之輔の姪である里子がころがりこんできた。20歳になったばかりの彼女は勝気で、結婚話がいやで親元から家出同然に飛び出してきたという。

三千代は気が進まなかったが、しばらく泊めてやるしかないだろう。だが、里子は初之輔にも、近所に住む若者にも三千代のいとこである一夫にもなれなれしい態度を見せる。ある夜、里子と初之輔が手を組んで帰ってくるところを見て、三千代の気持ちは爆発する。同時にこれまで抑えていた気持ちがどっとでてきて里子に出て行ってもらうと同時に自分も東京の実家へと戻ってしまう。

実家では母親と妹が温かく受け入れてくれ、三千代は次第にたまっていた疲れを回復してゆく。だが初之輔のほうも三千代のほうも互いに連絡を取り合うでもなく、夫婦仲が冷えてきたことを周囲の人たちは心配し始める。それどころか三千代は川崎で仕事を見つけようとさえして、一夫にその手配を頼んだりした。

一方、一夫は三千代にほのかな恋心を抱いており、今回の別居がチャンスになるのではないかと思い始めている。だが、傍若無人な里子の振る舞いを見て、また母親のそれとない心遣いを見て初之輔の存在について考え直すようになった。だがそれを手紙に書いてもそれを投函する気になれない。

逡巡するうち、ある日突然実家に夫がやってきているのを知る。いったんは逃げるように通りに出たが、銭湯帰りの初之輔にばったり出会う。そのときに三千代は不思議な安堵感を覚えるのだった。自分の中にあった不満はただ日常生活の疲れから出たものなのかもしれない。そのため夫といるときに心の安らぎを忘れてしまっていたのではないかと悟るのだった。(1951年)

監督: 成瀬巳喜男 原作: 林芙美子 脚色: 田中澄江 キャスト(役名)上原謙(岡本初之輔)原節子(三千代)島崎雪子(里子)進藤英太郎(竹中雄蔵)瀧花久子(すみ)二本柳寛(一夫)杉村春子(村田まつ)杉葉子(光子)小林桂樹(信三)花井蘭子(堂谷小芳)

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Á nous la liberté 自由を我等に 2006/02/20

チャップリンの「モダンタイムス」を見た人は、その共通点に気が付くが、フランス式の物語の流れが、アングロサクソン風とは大きく異なることにさらに驚くだろう。モダンタイムスのテーマは労働疎外であり、未来への希望であるが、この映画はあくまでも自由を得ることの難しさが中心になっている。

ここは監獄の中。囚人たちは毎日木馬のおもちゃづくりの単調な労働に耐えている。誰もが早く自由を得たいと願っている。同室のエミールとルイも作業場で金具を失敬して、毎日窓の鉄棒に刻み目を入れている。

ある夜、ようやく窓が壊れ、ふたりは刑務所の庭に出た。だがルイが塀を乗り越えたところで看守に見つかり、エミールは「おまえは先に行け」と叫んで、再び捕まってしまった。ルイは何とか脱走に成功し、人々の中に紛れ込む。

それからのルイの生活は順調だった。当時はやり始めた蓄音機の製造を手がけ、彼が社長として設立した会社はどんどん繁栄して、大勢の従業員を抱える大会社になってしまった。

エミールはようやく釈放されたが、働くところもなく野原でぼんやり寝ていたところを警官に浮浪者として捕まえられ、ルイの大工場で無理矢理働くことになってしまった。中はまるで監獄と同じだった。流れ作業の中、一人一人はわずかで単調な繰り返しの仕事を受け持ち、監視員が睨んでいるのだ。

あたまにきたエミールはきちんと仕事をこなせず工員たちと騒ぎを起こすが、そこへルイ社長が現れた。ルイはびっくりしてエミールを別室に呼び、金を渡して脱獄がばれないようにする。だが、エミールは密告をする気はない。代わりに自分が惚れてしまったこの工場の女性社員と結婚したいから何とかしてくれとルイに頼み込む。

ルイの力でその女に会わせて貰うが、すでに他に好きな人がいるらしい。二人は昔の仲を思い出して、会社の幹部のひんしゅくを買うほど大いに飲む。そこへルイが脱獄囚だと気付いたヤクザたちがやってきて、ルイに口止め料を要求する。何とか退散させたが、おそらく警察に伝わるのは時間の問題だろう。

ルイは今度、労働者を使わない完全自動の工場を完成させたところだった。工員は釣りでもして遊んでいればよい。祝賀会の会場には刑事の姿もある。ルイはこの工場の完成後は社長を引退して、ほかの仕事を始めると宣言した。

また捕まってしまっては元も子もない。ルイはエミールと共に、金をあきらめて放浪者の道を選ぶことにした。金はなくとも女房ももらえなくとも、自由だけは得られるのだから・・・(1931年)

Directed by René Clair Writing credits René Clair (story) Cast: Henri Marchand .... Émile / Raymond Cordy .... Louis / Rolla France .... Jeanne / Paul Ollivier .... L'oncle (as Paul Olivier) / Jacques Shelly .... Paul リスニング;フランス語

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Pension Mimosas ミモザ館 2006/02/23

不肖の養子を持った女を描く。実の子でなくとも小さいときから育てた子供は大人になっても、騒動を起こしてもやはりかわいいのだ。1924年、ここは南仏のニースの町。夫はカジノを経営し、妻のルイーズはミモザ館という宿屋兼下宿屋を経営していた。

ルイーズは家賃の取り立てや選択に追われる毎日だったが、夫婦の間には子供はなく、ある懲役囚から5年前に預かったピエールという少年がいた。ピエールは算数が得意で、友だちとの間でバクチのまねごとなどをしているから、ルイーズは彼の将来を心配している。

ピエールにとって初めての聖体拝領でお祝いをしていた日、刑務所を予定より早く出所した父親が訪ねてくる。ルイーズにとっては別れはとても辛かったが、実の父親に子供を返さないわけにもいかない。

それから10年後。父親は死に、ピエールは成人してパリに住んでいた。ルイーズたちに度々手紙をくれるのは、金の無心をしてくるからだ。最後の手紙に病気だとあったため、心配になったルイーズは単身、パリに向かう。

彼の住むアパルトマンに行ってみると、ちょうどヤクザから暴行されて大けがをしてかつぎ込まれてきたところだった。ネリーというボスの女に惚れ込み、ヤキを入れられたのだ。車のセールスの腕はまずまずだが、ちょくちょく賭博に関わり、仲間からはバカラと呼ばれていた。

ピエールの将来を心配したルイーズはニースに戻って暮らすように説得する。ネリーはロンドンに連れ去られ、金もなくなったピエールはひとまずミモザ館に落ち着くことに決めた。ニースでセールスの仕事を始め、ルイーズたちもひとまず安心するはずだった。

ところがボスのところから逃げてきたネリーがミモザ館に転がり込んだのだ。大喜びするピエールだったが、浪費癖と遊び癖のひどいネリーとの間に溝が次第に生じ、ルイーズの彼女を見る目は当然冷たい。

ネリーはもとのボスが迎えに来たこともあってミモザ館を出て行く。ひとり残されたピエールは自暴自棄になって車の売上金をカジノでみんなすってしまい、どうにもならなくなった。それを見ていたルイーズの頭にあることがひらめいた。小金を持って夫のカジノのルーレット場へ向かったのだ・・・(1935年・モノクロ)

Directed by Jacques Feyder Writing credits Jacques Feyder / Charles Spaak Cast:Françoise Rosay .... Louise / Paul Bernard .... Pierre / Lise Delamare .... Nelly / Raymond Cordy .... Morel. リスニング;フランス語

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Parisiennes, Les パリジェンヌ 2006/02/27

4話からなる、さまざまなパリ娘の生態。他の都市の娘たちと比較してみるのもよいが、この4人はまったく性格が違っておりながら、実によく共通点が見えている。これを探すのも観客の楽しみの一つ。

第1話 エラは、パリの劇場のエンターテイナーだが、北部の町に自分を採用してくれるというプロデューサーに騙されたあげく、出演の時間に遅刻しそうになり大慌て。サン・ラザールの駅で乗り込んだタクシーにはすでにエリックという男の先客が乗っていたが、それにお構いなく運転手に劇場に向かうよう命令する。

エラは、遅刻した理由をいとこであるエリックの妻の葬式に出たことにしてもらい、リハーサルに出る。彼女はロックンロールに合わせて見事に歌い踊る。エリックはそれを見て感心する。それはそのはず、彼はアメリカからやって来た大プロデューサーだったのだ。

エラはスカウトされ、ハリウッドに出て売り出すことになった。今ではこのパリ娘はエリックの夫人になっている。

第2話 アントニアは、夫をこよなく愛する妻だ。ある日二人でゴルフに出かけると、昔の恋人クリスチャンに出会う。三人での再会に、夫は何か心配になるが、帰りのシャワー室で、クリスチャンがほかの男に、アントニアは感じない最低の女だというのを聞いてちょっと安心する。

そのことをうちに帰ってアントニアに話をしたが、最低の女とは憤懣やるかたない。クリスチャンが泊まっているホテルを訪れると、一緒に寝る。クリスチャンは、アントニアがいい女になっていることに感心し、自分に惚れてしまっているのだと思いこむ。だが、アントニアは事が済むとさっさと帰ってしまう。

日曜日はゴルフのコンペ。夫とクリスチャンは優勝争いをすることになった。クリスチャンは何度もアントニアに誘いを入れるが、彼女は少しも応じない。それどころか、この間のベッドのことを口にして最低の男だとこき下ろす。ショックを受けたクリスチャンは完敗し、アントニアは優勝カップを持って夫と一緒に仲良く帰る。

第3話 フランソワーズは結婚してサンフランシスコに住むが、夫との生活に倦怠を感じ、親友ジャクリーヌの住むパリへひょっこり舞い戻ってきた。ジャクリーヌは、フランソワーズに男を見る目がないことやのぼせ上がりやすいことを注意した後、自分の恋人であるミシェルは決して浮気もしないと自慢する。

たまたまその夜はジャクリーヌはバイヤーとの食事で外出することになり、ミシェルがやってきてフランソワーズのおもりをすることになった。ミシェルはフランソワーズの小悪魔的な肢体に惹かれてしまい、レストランから自分の家に向かう。フランソワーズは誘惑に成功して二人はベッドの中に。

約束の時間を過ぎても迎えに来てもらえないジャクリーヌが自分でやってきて、二人の間の出来事を知る。親友同士は罵り合うが、フランソワーズは、アメリカの夫からかかってきた電話をとって、今すぐ帰ると言っている。おかげでミシェルとジャクリーヌも元のさやに収まりそうだ。

第4話 高校生のソフィーは恋に燃える母親と暮らしているが、恋人の熱烈な手紙を偶然に拾ってしまったのをいいことに、クラスでいつも男関係を自慢している少女たちに一泡吹かせようと計画を立てる。

(本当はいないのに)秘密の恋人がいると吹聴し、夜に秘密のアパートであっているというものだから、級友たちは簡単に引っかかって偵察に来る。芝居が危うくばれそうになったので、ソフィーは窓から抜け出して屋根沿いに逃げるが、ある窓から、泣いている青年の姿を目にして、窓から入って行く。

ルイというその青年は明日がギターコンテストなのに、棹(さお)が折れてしまったので泣いていたのだ。ソフィーは自分が練習をあきらめたギターを貸してあげると申し出る。ルイは大喜び。翌日ギターを大切に抱えてコンテスト会場に向かう。教室では、みんな興味津々。でもソフィーはそのことを心の奥にしまって幸せな気持ちになるのだった。(1962年)

Directed by Marc Allégret Claude Barma Writing credits Marc Allégret (segment) Jacques Armand (segment) Cast: Dany Saval .... Ella (segment "Ella") / Dany Robin .... Antonia (segment "Antonia") / Françoise Arnoul .... Françoise (segment "Françoise") / Catherine Deneuve .... Sophie (segment "Sophie") リスニング;フランス語

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© 西田茂博 NISHIDA shigehiro