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映画の世界

コメント集(33)

  1. 前ページ
  2. 乱れる
  3. おかあさん
  4. 歌行燈
  5. 妻として女として
  6. 女の座
  7. 菊次郎の夏
  8. Help !
  9. けんかえれじい
  10. Magical Mystery Tour
  11. 夜と霧
  12. 去年、マリエンバートで
  13. 舞姫
  14. 驟雨
  15. アリスのレストラン
  16. 夫婦
  17. 秋立ちぬ
  18. 妻よ薔薇のやうに
  19. わんぱく戦争
  20. 鶴八鶴次郎
  21. 三十三間堂通し矢物語
  22. 銀座化粧
  23. 山の音
  24. 残菊物語
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今年見た映画(2006年)

乱れる 2006/06/01

乱れる東海地方の町で酒屋をやっている森田家はスーパーが近くにできてから売り上げが落ちている。この店清水屋は長男の嫁、礼子が戦後の混乱の中で築き上げたものだった。夫は戦死し、長女と次女は他家に嫁ぎ、父親も死去し、母親は半ば引退し礼子が一人でこの店を切り盛りしていた。

次男の幸司が勤め先を辞めてこの店に戻ってきた。女の子に手を出し麻雀に明け暮れる姿を見て母親も礼子も心配するが、実は幸司は礼子に密かに惹かれていたのだ。ある夜、このことを当惑する礼子にはっきり告げると、翌日から店のために一生懸命働きはじめた。

一方、長女の夫から持ちかけられた、酒屋をスーパーに変える話は、幸司が礼子を重役にするのだと譲らないため暗礁に乗り上げていた。その間にも礼子は愛の告白を聞いた夜から、幸司のことが気になり毎日の生活が息苦しく感じられてきた。

礼子はほんのわずかな夫婦生活の後、ずっと18年もこの店のためにがんばってきたが、幸司に犠牲になっていると言われ、決心がついた。家族を全員集め、自分はこの家を出て田舎に帰ると宣言する。娘たちはあきれ、母親はおろおろするが、止めることはできない。

一人列車に乗った礼子の前に幸司が姿を現す。彼女の故郷である山形県の新庄まで送って行くという。はじめは表情を固くしていた礼子だったが、次第に気持ちが和らいでいった。夜行列車が朝日の中を走っているとき、幸司の眠っている姿を見て、礼子の目から涙が止まらなくなった。礼子は次の駅で降りてバスで温泉に行こうと言い出す。だが・・・(1964年・東宝)

監督 ;.成瀬巳喜男 脚本 ;.松山善三 配役 森田礼子 ;.高峰秀子 義弟・幸司 ;.加山雄三 義妹・久子 ;.草笛光子 義妹・孝子 ;.白川由美 義母・しず;.三益愛子 幸司の恋人 ;.浜美枝 清水屋店員・野溝 ;.藤木悠 温泉場のおかみ ;.浦辺粂子

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おかあさん 2006/06/08

おかあさん戦後の混乱期、クリーニング屋を目指す福原良作は、妻正子、長女年子、次女久子、病気で就職先から戻ってきた長男の進、そして正子のやもめの妹、則子から預かったまだ幼い哲夫の総勢6人暮らしである。

年子から見たお母さんは毎日大活躍。だが次々と事件が起こる。進は病状が思わしくなく、療養院から脱走してきて正子のもとで息を引き取る。折角クリーニング屋の準備が整ってきたのに、良作は病を得て、入院も拒み世を去る。

良作の仲間、木村庄吉がクリーニング屋の商売を手伝いに来てくれた。おかげで仕事は何とか上向き始める。だが年子は、ボーイフレンドで、ベーカリーの息子、真二郎に、近所では正子と木村との結婚の噂が流れていると聞き、ショックを受ける。

良作の死後、弟夫婦が久子をもらいたいと言ってくる。家計の苦しさや年子が洋裁学校に行来たがっていることも考えて、まだ小さいのに久子は貰われていくことを了承するのだった。

久子が居なくなって家の中はいっそう寂しくなった。しかも則子は、理容師の試験に合格しこれまで預かってもらった息子の哲夫をそろそろ引き取ろうと考えている。

則子の頼みで、年子は花嫁姿のモデルになる。これを見たパン屋では大騒ぎ。これを見て正子は、年子のお嫁入りの日も近づいているのだなとしみじみ感じるのだった。(1952年)

監督 ;成瀬巳喜男 脚本 ;水木洋子 原作 ;全国児童綴方集 配役 福原正子 ;田中絹代 長女・年子 ;香川京子 正子の夫・良作 ;三島雅夫 正子の妹・栗原則子 ;中北千枝子 年子の妹・久子 ;榎並啓子 年子の兄・進 ;片山明彦 平井信二郎 ;岡田英次 木村庄吉 ;加東大介 良作の弟 ;鳥羽陽之助 則子の息子・哲夫 ;伊東隆

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歌行燈 2006/06/15

歌行燈この監督にしては珍しいハッピーエンド。しかも制作されたのは終戦の2年前だ。あの国内外の戦乱の中でこれだけの作品を作ってしまう、アーティストたちの根性に脱帽・・・

明治の中頃、能楽の名門で謡(うたい)を専門とする恩地家の次郎蔵・喜多八親子と叔父の源三郎の三人は東京を出て三河の地を旅していた。20代になってまもない喜多八は幼いころから特訓を受け、優れた才能と美しい声で、恩地家の希望の星だった。

ある宿場町で雪叟というあんまが非常にすぐれた謡をするという噂を聞く。負けず嫌いな喜多八は、宿をそっと抜け出て雪叟のいる宿に出向いた。雪叟は非常に傲慢な男で町の嫌われ者だったが、喜多八が謡のリズムを乱す合いの手を入れると、とんでもない強敵が現れたと狼狽し、その夜悔しさのあまり自らの首をくくってしまった。

町の人々はかえって喜んでくれたが、父親の次郎蔵は、息子が人様の自殺を引き起こしたことを深く悔い、今後謡を一切うたうことを禁じ、人々の前で喜多八に勘当(かんどう)を言い渡す。源三郎は一生懸命止めようとしたが、頑固な親父は一切受け付けない。

ひとり放浪の旅に出た喜多八は人家の門口に立ち、音曲を奏したり芸能を演じたりして金品をもらい歩く、門付け(かどづけ)となって名古屋、近江、伊勢あたりをさまようことになった。

二年ばかりして、門付けのなわばり争いがきっかけですっかり仲良くなったもと料理人、宗山のおかげで、雪叟の娘お袖の消息を知る。雪叟の家を出て立ち去るときに、「自分の身体をおもちゃにするな」と声をかけたこの娘は宗山の姉の世話で伊勢の料理屋に芸者としてやっかいになっているとのことだった。

たびたび雪叟の亡霊に悩まされた喜多八はせめて彼女の面倒を見るべきだと心に決め、新しく移った宿でようやくお袖を発見する。彼女は不器用で三味線もダメ、お酌も満足にできない芸者であったが、一週間の間、喜多八は彼女のために舞(まい)の特訓をする。

自分の名前を隠しての特訓だったが、お袖はこの若い男が自分の父親を自殺に追い込んだのだとうすうす感じていた。しかし舞の特訓が終わったとき、不思議にも恨みを感じてはいなかった。

お袖と別れた喜多八はそれからも彼女の面影が離れない。彼女は別の場所に移ってしまい、あてもなく彼女を捜し回る毎日だった。その頃公演で次郎蔵と源三郎は旅の宿にあった。そこには偶然お袖が来ていた。二人は不器用なお袖にせめて舞でも踊って見せろと要求する。

この舞を見た二人はびっくり。これは紛れもなく喜多八の持ち歌だったからだ。遠くから源三郎の鼓(つづみ)の音を聞きつけた喜多八が、宿の庭に姿を表した。これまでかたくなな態度を崩さなかった次郎蔵は、お袖の舞を見て息子の勘当を解いたのだった。(1943年)

演出 ;  成瀬巳喜男 原作 ;  泉鏡花 配役  恩地喜多八 ;花柳章太郎 次郎蔵 ;柳永二郎 恩地源三郎 ;大矢市次郎 辺見雪叟 ;伊志井寛 お袖;山田五十鈴 源市 ;瀬戸英一 宗山 ;村田正雄

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妻として女として 2006/06/22

妻として女として見ていて面白く、やがて悲しき映画。こんなタイトルより、「愚かな男女の愚かな物語」と名付けた方がよかったかもしれない。妻と妾の確執。男との女の腐ってもなかなか切れない関係。高度成長期の日本のまっただ中でも、人間の蠢きはいつも同じなのだ。

戦時中に結婚した圭次郎と綾子は、最初の子供を亡くし、以後子供を持つことができなかった。空襲の時に圭次郎は、三保という女と知り合い、弘子という子供を産ませ、自分たち夫婦の子供として届け出る。三保との関係はそれからも続き、次に産まれた男の子、進も三保は育てる経済力がないことからやはり夫婦の子供となる。

それから20年。三保は圭次郎との関係を惰性で続け、綾子はそれを黙認するような形で生活を続けていた。三保は綾子名義の銀座のバーを任され、彼女なりに店をもり立てていたが、その実入りの大部分は綾子にもって行かれてしまうのだった。しかも綾子はいつもスパイを放って三保の言動を監視している。

熱海で圭次郎と三保が密会した夜、大学教師である圭次郎の学生たちに自分たちの姿を見られてしまう。狼狽する圭次郎。何とかこれが噂にならないようにと必死だ。それを見て三保はどうしてこんな男のために自分の青春を捧げてきたのかわからなくなった。

急に圭次郎に嫌気がさし、ほかの同じ境遇にある友だちの姿も見て、三保は圭次郎に銀座の店をもらって別れたいと言い出す。だが圭次郎は優柔不断な男で、あくまでも現状維持がいいと言って取り合わない。

綾子に会って頼んでも、銀座の店は抵当に入っているし、手切れ金といっても50万がせいぜいと言われ、三保は自分の産んだ子供を返して欲しいと言い出す。弘子は大学生になったが、進はまだ中学生だ。学校の帰り道に進を誘うと、友だちの助けを借りてすっかり真相を語ってしまう。

当然進も、同様に弘子もショックを受ける。だが、夫婦の家に乗り込んできた三保と、自分の両親たちの会話を聞いて、姉弟はおとなの世界の醜さにうんざりしてしまう。弘子は家を出る決心をする。綾子はすでに夫婦関係が破綻していることを感じ、離婚を考える。この間まで仲の良かった家族は一瞬にしてバラバラになった。

一方三保は、銀座の店を引き払うべく、手切れ金の50万円を手に荷造りに忙しい。おばあちゃんが言うには三保があんなことを言い出さなければ、今でもバーのマダムとしていられたのかもしれないが・・・(1961年・東宝)

監督 :.成瀬巳喜男 脚本:.井手俊郎 松山善三 配役 西垣三保 :.高峰秀子 河野綾子 :.淡島千景 夫・圭次郎 :.森雅之 娘・弘子 :.星由里子 南 :.仲代達矢 ルリ子 :.水野久美 三保の友人・福子 :.淡路恵子 三保の祖母・志野 :.  飯田蝶子 圭次郎の息子・進 :.  大沢健三郎

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 2006/06/29

妻中川十一、美穂子夫婦は10年目だが、どうもしっくりいかない。妻は夫が出かけるときも一言も言わないし、夜は夫が勝手に自分で蒲団を敷いて寝てしまう。大喧嘩をするわけではないのだが、二人の間には常にひんやりした空気が流れていた。

十一は、給料はそう多くはないが、まじめなサラリーマンである。美穂子は給料の少なさを補うべく、内職をしている。2階は下宿にして貸しており、若い画学生谷村、松山夫婦の2所帯が住んでいる。

松山の妻栄子は銀座のバーで仕事を始め収入があるが、夫はぶらぶらしていっこうに仕事に就こうとしない。栄子は遂に真っ昼間家財道具をもって下宿を出てしまった。がらんとした部屋に経たり込む夫。それもやがて出ていった。あとにはパトロンつきの若い女の子が入ってきた。

会社で十一は事務をしていて、男の子が一人いる未亡人、相良房子と親しくなる。家では妻が冷淡なだけに、いっそう房子のことが好ましく感じられるのだった。房子が実家の大阪に帰ることになると、十一は出張の傍ら、大阪で房子に会い、二人の気持ちはもう後戻りできないと感じる。

家に戻ってふさぎ込んでいると、すでに気付いていた美穂子が問いただすので、十一は自分の恋を正直に言ってしまう。美穂子は自分のこれまでやって来たことが崩れようとしているのに気付き狼狽する。

大阪の房子に手紙を書いたり、友だちに相談したり、実家に戻ったりしてみるが、夫の気持ちを変えることができない。房子が十一に会いに東京に出てきたとき、居場所を突き止めた美穂子は、会いにゆき談判をする。房子はあきらめて大阪に帰った。夫婦は再び元に戻ったように見えた。だが、二人とも心の中ではいつ別れるべきかを考えているのだ・・・(1953年・東宝)

監督 ;.成瀬巳喜男 脚本 ;.井手俊郎 原作 ;.林芙美子 『茶色の目』 配役 中川十一 ;.上原謙 /妻・美穂子 ;.高峰三枝子/ 相良房子 ;.丹阿弥谷津子/ 桜井節子 ;.高杉早苗/ 松山栄子 ;.中北千枝子 /夫・浩久 ;.伊豆肇 /新村良美 ;.新珠三千代/ 谷村忠 ;.三国連太郎/ 美穂子の叔父 ;.石黒達也/ 新村妙子 ;.坪内美子/ 鬼頭 ;.谷晃/ 鬼頭の妻 ;.本間文子/ 栄子の母 ;.馬野都留子

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女の座 2006/07/06

女の座この作品は後のテレビドラマの原型になったのではないか。たくさんの登場人物(正月用映画として作られたからか?)、さまざまなエピソードがあちこちに散在する構成は、明らかにお茶の間向けを意識して作られている。

石川金次郎は、後家あきとともに子供たちと住んでいる。長男は3年前に死んで、嫁の芳子が雑貨店を切り盛りしていた。あきは芳子を頼りにしている。というのも、実の子供たちは今ひとつしっかりしていないからだ。

金次郎が庭で庭石を持とうとして筋を違えて倒れた時に、はるばる博多から駆けつけた三女の路子は、ちょうど夫が会社をクビになり東京で一旗揚げようと、夫婦して石川家に居着いてしまって、出ていこうとしない。

次男の次郎はラーメン屋を営んでいるが、うだつが上がらず、子供を抱え女房には愚痴を言われ続けている。人手不足を理由に四女の夏子はしばらくこのラーメン屋でウェイトレスをすることになった。常連の気象庁勤務の青年を気に入るが、五女の雪子も惹かれている。

長女松代は、夫が女をこしらえて泊まり歩くのにうんざりしながら、下宿屋を経営している。こんどここの空室に入ってきた青年、六角谷がじつはあきが後家としてここに来る前に産んだが生き別れになった息子だと判明する。新しい兄の出現に家中騒然とするが、婚期が遅れお花の先生をして自活している梅子は、あきから生まれていないこともあって六角谷に見境なく夢中になってしまう。だが、この男は札付きで、あきの頼みを受けた芳子が何とかこの二人を引き離す。

女の座気象庁の青年とどちらにしようかと迷うが、雪子のことに気付き、夏子はもといた会社の人とお見合いをして、彼と共にブラジルへ行く決心をする。その頃芳子の一人息子で中学生の健は一生懸命勉強しているにもかかわらず少しも成績が上がらないことを苦にしていた。

健は、電車に轢かれて死ぬ。芳子は自分の期待が重すぎたために自殺をしたのではないかと思い悩み、夫に続き子供も失い、もうどこにも行くところがない。だが金次郎とあき夫婦は芳子を連れてでかけると、今の大きな家を処分して、小さな家を買い三人でゆっくりすごそうと提案してくれるのだった。(1962年・東宝)

監督 ;成瀬巳喜男 脚本 ;井手俊郎 松山善三 配役 石川金次郎 ;笠智衆 /石川家の嫁・芳子 ;高峰秀子 /四女・夏子 ;司葉子 /五女・雪子 ;星由里子 /三女・橋本路子 ;淡路恵子 /次女・石川梅子 ;草笛光子 /長女・田村松代 ;三益愛子 /石川家の後家・あき ;杉村春子 /松代の娘・靖子 ;北あけみ /次郎の妻・蘭子 ;丹阿弥谷津子 /あきの先夫の子・六角谷甲 ;宝田明 /金森静子 ;団令子 /路子の夫・橋本正明 ;三橋達也 /次男・石川次郎 ;小林桂樹 /青山豊 ;夏木陽介 /松代の夫・田村良吉 ;加東大介 /芳子の息子・健 ;大沢健三郎

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菊次郎の夏 2006/07/13

小学生の正男にとってというよりは、おとなの菊二郎にとっての想い出深い夏となった。正男は浅草の隅田川の近くに住むが、父親は死に、母親は豊橋で働いているのだという。おばあちゃんと二人暮らしだった。

夏休みが始まって友だちは次々と家族でどこかに出かけてしまい、正男はひとりぼっちだ。近所のおばさんが気にしてくれて、いつもぶらぶらしている自分の夫、菊次郎に豊橋まで連れていってもらうことになった。

だが、この男まず旅の資金と称して競輪場に直行だ。持ち金をほとんどスッてしまったとき、正男のでたらめ番号が偶然に当たる。当たったのは一回目だけであとは再び資金はどんどん減るばかり。二人はタクシーに乗って西を目指した。

高級ホテルでプールで泳いだり、ヒッチハイクをして畑の真ん中でおろされて次の車が見つからず右往左往するが、旅回りの親切な詩人?に拾われてやっと母親の住む場所にたどり着く。

だが、母親とおぼしき人は夫も子供もいた。正男を傷つけたくない菊次郎は何とか慰めようと一生懸命だ。バイク族から「天使の鈴」を奪ったり、祭りで騒ぎを起こして地元の若い衆に殴られたりした。菊次郎の母親が入院している施設にも立ち寄った。

ある川の畔にたどり着くと、先の詩人に再会し、バイク族もやってきて、みんなで川原にキャンプをして、それこそ夏らしい遊びを楽しむ。それは正男のためというよりは、大人たちのファンタジーのようだ。

やがて別れの時が来た。詩人に送られて隅田川の橋まで戻ってきた二人はそこで別れる。正男も菊次郎も境遇が似ていた。すっかり菊次郎になついた正男は元気になって一路自分の家を目指す。(1999年)

監督;北野武 脚本 ;北野武 配役 菊次郎 ;ビートたけし /正男 ;関口雄介 /菊次郎の妻・近所のおばさん ;岸本加世子 /正男のおばあちゃん ;吉行和子 /優しいお姉さん ;細川ふみえ /正男の母 ;大家由祐子 /こわいおじさん ;麿赤兒 /エンターティメント・グループ ;ザ・コンボイ /デブのおじちゃん ;グレート義太夫

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Help ! 2006/08/03

ある東洋の国でのこと、いつものように若い娘を生け贄(いけにえ)にして、女神の怒りを和らげようとしていたその矢先、娘の指に指輪がないことが発見される。どうやらその指輪はイギリスにあるらしい。僧侶をはじめとして全員で指輪を取り戻すべくイギリスに向かうことになった。

生け贄になるところだった娘は、実はビートルズの一員、リンゴ・スターにその指輪を贈っていたのだ。僧侶たちには、娘の姉エーメも秘書として同行する。ビートルズはいつものように演奏やレコーディングで忙しい。

僧侶たちは彼らの住居に忍び込み、指輪を盗もうとするが、失敗する。と言うよりはリンゴの指に指輪は深く食い込み、どうしても取れないのだ。その金属はきわめて硬くノコギリでも切れない。指輪をはめたままだとリンゴが生け贄になって殺されなければいけない。

インチキ科学者に見て貰ったが、それでも効果なし。逆に彼らにその指輪の秘密を知られ、つけねらわれることになる。一方東洋からの僧侶たちの追跡は執拗をきわめ、警察に頼んでもバッキンガム宮殿にこもっても、戦車で守ってもらっても彼らから逃れるのはたいへんだ。

それでもエーメが密かに4人を守ってくれたからよかった。追っ手から逃れようと、4人はバハマに向かう。ところが紺碧の海に着いても追っ手はその追求を止めない。自転車に乗った4人は、相談してもう逃げるだけは止めようと決める。こっちから攻撃してやるのだと。

海岸は僧侶もニセ科学者も、警官たちも入り乱れて大混戦。その混乱のさなか、リンゴの指から指輪がスポッと抜けてしまった。リンゴはその指輪を僧侶たちのひとりの指にはめた・・(1965年)・

Directed by Richard Lester Writing credits Marc Behm (story) Charles Wood (screenplay) Cast: John Lennon .... John (as The Beatles) / Paul McCartney .... Paul (as The Beatles) / George Harrison .... George (as The Beatles) / Ringo Starr .... Ringo (as The Beatles) / Leo McKern .... Clang / Eleanor Bron .... Ahme / Victor Spinetti .... Prof. Foot / Roy Kinnear .... Algernon / John Bluthal .... Bhuta / Patrick Cargill .... Superintendent / Alfie Bass .... Doorman / Warren Mitchell .... Abdul / Peter Copley .... Jeweller / Bruce Lacey .... Lawnmower

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けんかえれじい 2006/08/09

南部麒六は備前岡山の中学校(昭和10年頃)の生徒であるが、エネルギーが余って仕方がない。そこにスッポンと名乗るケンカの名人が現れて、訓練をしてくれた。誰にも負けない強さを誇るようになった南部は、学校のケンカ組織に加わってさっそくケンカ三昧に明け暮れる。

南部は市内に下宿していたのだが、下宿の娘は路子といい、二人は相思相愛の中だった。南部は道子と日曜日にはカトリック教会についてゆき、家では彼女の弾くピアノに耳を傾け、彼女への情熱の思いを日記に書き留めるのだった。

だが、あまりに暴力沙汰が続き、学校に来ていた軍の将校と衝突し、遂に学校を転校するはめになる。会津若松にいるおじさんを頼って、今度は喜多方の高校に通うようになった。だが、地元でもケンカ相手として目を付けられ、昭和白虎隊と名乗る連中と大喧嘩をする。だが、この土地の雰囲気は岡山と違っていて、校長が逆にそれをほめてくれるのだった。

ある日、級友に連れられて俳句の先生に合うが、その鋭い眼光に南部は非常な印象を受ける。何か胸騒ぎを感じるのだった。雪の激しく降りしきる日、はるばる道子が訪ねてきた。彼女は結婚できないからだであり、修道院にはいるので最後の別れを告げにやってきたのだ。

そのショックが収まるヒマもなく、東京で近衛兵による政治家暗殺事件(2・26事件)が起きた。首都には戒厳令がしかれている。その事件の思想的指導者、北一輝の写真の顔を見て南部はびっくりする。それはあの俳句の先生であったのだ。新たな活躍の場を求めて南部は東京行きの汽車に飛び乗るのだった・・・(1966年・日活)

監督: 鈴木清順 原作: 鈴木隆 脚色: 新藤兼人キャスト(役名)高橋英樹(南部麒六) 浅野順子(道子)川津祐介(スッポン) 片岡光雄(タクアン) 恩田清二郎(キロクの父) 宮城千賀子(道子の母ヨシノ) 田畑善彦(カッパ)夏山愛子(ウドン屋の娘)佐野浅夫(近藤大尉) 晴海勇三(柔道先生)

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Magical Mystery Tour マジカル・ミステリー・ツァー 2006/08/23

ジョージ・ハリソンが監督として参加し、ビートルズの4人が登場するテレビ映画。リンゴはふとっちょの叔母さんを連れてツァーに参加した。ほかのメンバーもバスに乗り込んでいる。バスは男女のガイドと運転手が乗り込み、客を満杯にしてロンドンを出発した。

リンゴと叔母さんは喧嘩を止めないが、町中を出て、田舎になるとバスは魔法にかかり、これまで無口だったおじさんが急におしゃべりになったりしてバスの中の雰囲気が変わってきた。このおじさんはやもめの叔母さんに恋をする。

広い平原では乗客によるマラソン大会。リンゴの叔母さんはバスの中で夢を見る。レストランに連れて行かれ、ウェイターにシャベルで食事のお代わりを受けてもう満腹で苦しい思いをする夢だ。

平原の中に小さなテントがある。その入り口をはいつくばりながら入ってゆくと中は大きな劇場だ。ジョージは「Blue Jay Way 」を歌う。「 Your Mother Should Know 」はダンス調で歌われる。やがて夕方になるとバスは停車し、女性は残り、男性だけがバスから出るように言われる。連れて行かれたところはストリップ劇場。乗客は大いに満喫するが、映画を見るほうは「検閲中」の大きな幕がかかっていて、肝心のものが見えない・・・(1967年)

Directed by George Harrison / Bernard Knowles Writing credits George Harrison (written by) & John Lennon (written by) ..Cast John Lennon .... John/Ticket Salesman/Magician with coffee/Narrator / Paul McCartney .... Paul/Major McCartney/Brown Nosed Magician / George Harrison .... George/Magician looking through telescope / Ringo Starr .... Richard Starkey/Talkative Magician

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Nuit et brouillard 夜と霧 2006/08/20

人類が犯した犯罪は、それを克明にとどめ、次世代に語り継がなければいけない。そのためには真実を伝え、醜い部分や悲惨な部分を隠すということがあればその試みは水泡に帰してしまう。

このような仕事に携わる者は、後世の人間が人間の歴史が続く限りその記録を見てゆくのだという重大な責任を負う。日本の戦争についてはきちんと物事のあらゆる面から記録する努力が為されているだろうか?日本の場合には都合の悪いところや悲惨な場面を平気でカットする制作者がいる。

この映画は、アウシュビッツをはじめとするユダヤ人強制収容所の記録である。今では廃墟となった、収容所の住宅、監視塔、そしてガス室や火葬場が荒れ果てた雑草の中に埋もれている。これはカラー写真で撮影されている。

一方、ユダヤ人狩りで貨車に乗せられた彼らが収容所に到着し、最期を遂げるまでの様子は、それまでに記録された写真を載せている。こちらは白黒写真である。収容所での生活、重労働、略奪と助け合い、監視人の不正と搾取、劣悪な生活条件が示される。

やがて「処分」が決まり、より効率的なガス室や焼却装置が作られた。ガス室の天井には、逃れようとする人々が必死であったことを示す爪の跡が残っている。あまりに多くの人間を処分したので、戦争が終わったときまでに火葬が間に合わなかった。

殺された人々の身につけていたものはことごとく利用された。女の髪の毛は毛布となり、皮膚も使われた。人体実験のために数多くの身体が医者たちによって研究対象となった。

ナレーションは、シンプルに詩のように語られる。それは聞く人々自身に想像をさせようとしているかのようだ。語りの最後では、このようなことがこれからも起こることが暗示される。たしかに21世紀は、まるでこんな悲惨な事件が起こったことを忘れたかのように絶えず戦争が続いてゆく。(1955年)

Directed by Alain Resnais Writing credits Jean Cayrol Cast: (in alphabetical order) Michel Bouquet .... Recitant/Narrator (uncredited) / Reinhard Heydrich .... Himself (behind Hitler) (archive footage) (uncredited) / Heinrich Himmler .... Himself (with Hitler) (archive footage) (uncredited) / Adolf Hitler .... Himself (views parade) (archive footage) (uncredited) / Julius Streicher .... Himself (makes speech) (archive footage) (uncredited)

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L'Annee derniere à Marienbad 去年マリエンバードで 2006/08/27

難解な映画だという評判があるが、2回目に見るとなぜかストーリーが自然に入ってくる。男と女とその夫以外はほとんど語らず身動きしないという設定も「くどき」を中心にすえている以上、実に自然な表現の仕方なのかもしれない。

ある豪壮な館(やかた)風のホテル。内部はクラシックな彫刻と太い円柱が並ぶ、迷路のような廊下が巡り、まるでベルサイユ宮殿のような造りである。外は典型的なフランス式庭園で、コーン型の樹木が列を作り、その森ははるか視界の彼方まで続いている。

一人の男がそのホテルの中にいる。彼はちょうど一年前、この場所である人妻をくどき、寝室を共にした。彼は女に一緒にこのホテルを発つようにとうながしたが、彼女は夫とすぐ別れる決心がつかず、一年待ってくれと言った。そして今男は再びこの女に会い、約束を実現しに来たのだった。

だが、女は一年前のことなど知らないという。だがそのまなざしには完全な拒否の色はなかった。男はホテルの内部や庭園で一年前何があったかを一つ一つ克明に女に言って聞かせる。ホテルの客のこと、庭園にあるシャルル3世とその妻の銅像のこと、誰にも負けない賭博師である彼女の夫のこと、彼女のほほえみや沈黙の瞬間など、男はそれは正確に覚えていて女に語る。

去年、彼女は自分のホテルの部屋のドアを半開きにして男を待っていた。そのことを彼女は今になってなかなか認めたがらない。去年の夏は寒くて庭園の池が凍っていたなどと見え透いた話をしたりする。もうこれ以上自分を追い回さないでくれと言ったりする。

だが、ついに彼女は陥落した。最後まで夫のことが気になる彼女はもう一年待ってくれなどと言い出したが、深夜、夫が演劇鑑賞から戻ってくる前に彼女は男に手を取られてこの館をあとにしたのだった。(1961年)

Directed by Alain Resnais Writing credits Adolfo Bioy Casares (uncredited source: 1940 novel The Invention of Morel) Alain Resnais Cast: Delphine Seyrig .... A/Woman // Giorgio Albertazzi .... X/Stranger // Sacha Pitoeff .... M/Escort/Husband // Francoise Bertin .... Un personnage de l'hotel

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舞姫 2006/10/12

鎌倉に住む矢木一家は4人暮らし。元バレリーナである妻波子の親は資産家だったが、戦争で落ちぶれ今は家財を切り売りしながら生活を保っている。後進の指導に当たっている波子にとって長女の品子が成長して一人前のバレリーナになることに力を注いでいることが生きがいだった。

20年前、今の夫元男は無一文で波子と結婚し、今では大学の教師になっているものの、波子がマネージャーをしている竹原と親しくしていることにはっきりした態度を示さないままにここまできた。自分の母親が竹原に心が傾いていることは品子も、長男の高男も知っていたが、子供たちは何とか夫婦が元に戻って欲しいと願っていた。

ここにいたり、竹原は何度も波子に夫と別れて自分と一緒になることを迫る。波子は心が揺れ動くが行動に踏み切れない。だが、久々に4人で食事をしたときに、元男が竹原とのことで子供たちの前で波子をなじり、元男も自分名義の貯金をはじめていることを息子に指摘され、この一家がまったくバラバラであることがはっきりしてしまった。

いたたまれず家を飛び出した波子だったが、竹原に誘われて一緒に旅行に出ようとも思う。元男は明くる日、前の晩に自分が妻に言ったことを後悔していた。波子は品子のバレー公演を見ていた。珍しく高男も劇場にやってきていた。元男が行かせたのだった。高男は波子に元男が風邪を引いて2日も仕事を休んでいると告げる。波子の心は乱れた。手には「東京駅で待っています」という竹原からの手紙が握られていた・・・(1951年)

演出 ;成瀬巳喜男 脚本 ;新藤兼人 原作 ;川端康成 配役 矢木元男 ;山村聡 妻・波子 ;高峰三枝子 息子・高男 ;片山明彦 長女・品子 ;岡田茉莉子 竹原 ;二本柳寛 沼田 ;見明凡太郎 野津 ;木村功 友子 ;大谷伶子 香山 ;大川平八郎 満江 ;沢村貞子 谷桃子 谷桃子バレエ団

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驟雨 2006/10/16

東京の中央線沿線に住む並木亮太郎、文子の夫婦は、二人で古ぼけた家に住んでいる。もう結婚して4年も立ち倦怠期が訪れていた。子供がいないので日曜には二人が向かい合い、どこかに出かけようとかいろいろ考えるのだが、いつも諍いとすれ違いに終わってしまう。

そこへ姪のあや子が新婚旅行から帰ってきた。一人でやって来たので訳を聞くと、婿の態度が気に入らないという。礼儀がまるでなっていない、バカにしたような口のききかたをする、友だちと出かけたまま一晩帰ってこないなどと、不満をぶちまけ今にも別れてしまいそうだ。

文子は野良犬をてなづけてしまって、この犬が近所の品物を盗んだり食いちぎったりするものだから近くの幼稚園やらおばさんたちやらから苦情が絶えない。そこへ隣の家へ今里という夫婦が引っ越してきた。奥さんの雛子はとても若くて夫の念吉をアゴで使う。でも念吉もそれでまんざらでもなさそうだった。

文子は出不精であまり人の前に出たがらないことも夫婦がぎくしゃくする一因のようだ。亮太郎が4人そろって映画を見に行くことを提案するのだが、文子も念吉も行かないことになり、雛子だけを連れて出かけることになる。

亮太郎は化粧品会社のサラリーマンだ。電車に揺られ、都心まで満員通勤を我慢している。胃が弱くて薬が手放せない。また外食をすることも滅多にできない。日曜だけが休みなのだが、妻にとっては自分を相手にしてくれないことが不満らしい。

悪いニュースが入った。化粧品会社で、人員削減のために早期退職を募ることになったのだ。都会のうだつの上がらない暮らしにうんざりしていた亮太郎は割増金をもらって田舎に引っ込むことを考える。同僚が家にやってきてみんなで料亭を経営しようなどという話が持ち上がる。

亮太郎は妻が外に出て働くことを好まない。だからこの集まりで文子をホステスにしようなどという冗談が出ると本気で怒った。みんなが帰ったあと二人はその事で罵り合い、別居の言葉さえ出る。

だが、翌朝はいい天気だった。あや子からは、夫と仲良く写った写真が届いていた。あんなに腹を立てていたのに・・・となりの幼女が飛ばした風船を亮太郎が手でつくと、文子がそれを打ち返した。夫はそれをまた打ち返し・・・昨夜のすさまじいケンカの声を聞いていた今里夫婦はあきれている。

それにしても当時の近隣関係は何と濃厚なことか。最も自分たちの夫婦喧嘩が知られてしまうようではプライバシーも何もあったものではないが。幼稚園の先生が近所の人たちを集めて何でも思ったことを忌憚なく述べてもらう集会の場面がある。はじめは犬を鎖でつなぐべきか否かが議題だったのだが、いつのまにかそれぞれがいつも噂されていることを否定する場になってしまった。それでも言ったあとではさぞすっきりすることだろう。

(1956年東宝)

監督;成瀬巳喜男 脚本;水木洋子 原作;岸田国士 配役 並木亮太郎 ;佐野周二 妻 文子 ;原節子 姪 あや子 ;香川京子 今里念吉(隣の夫) ;小林桂樹 妻 雛子 ;根岸明美 部長 ;恩田清二郎 川上(社の友人) ;加東大介

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Alice's Restaurant アリスのレストラン 2006/10/19

高校を出たばかりのアーロは音楽の専門学校にもなじめず、ニューヨークの酒場でフォークの語りをはじめて稼ぎはじめる。その頃友人のアリスが同居人のレイと共にマサチューセッツの田舎で使わなくなった教会をもらいうけ、さらに町にレストランを開業しはじめたことを聞く。

感謝祭のパーティに出かけたアーロは仲間たちと楽しい時を過ごす。教会は改装され当時のヒッピーたちが集まる場所になっていた。面倒見の良いアリスが中心になって大勢の若者たちが出入りする。レストランの開業には、アーロもコマーシャルソングを作って参加した。

ベトナム戦争で帰ってきた黒人青年がいる。彼の右腕は義手だった。シェリーという青年は、精神を患っていたが、今度ニューヨークの病院を退院して彼らのもとにやってきた。みな何か苦しみを抱えている。公共の場所には「長髪は止めましょう」などという張り紙が張ってある。

アーロは友人と共にパーティで出たゴミを山林に不法投棄したために警察に捕まってしまう。平和そのものの田舎では最大の事件だったので拘留され保釈金を払い、裁判で罰金を取られるなどの大騒動になった。

アーロの父親はハチントン舞踏病という神経の病気に冒されて入院し口を利くことができない。アーロはギターを持ってしばしば見舞っている。彼が演奏するのを父親はじっと見つめているのだった。

アーロにも徴兵検査の通知が来た。検査は次々とパスし、入隊することになると半ばあきらめかけたころ、ゴミ捨てで逮捕された経歴が軍隊には好ましくないということで拒絶されてしまった。ほっとしたものの、アーロにはこれから何をするかという明確な展望はない。

シェリーは覚醒剤を持っておりアリスに責められ、みんなに責められてバイクで外に飛び出し自殺してしまった。雪の降りしきる墓地でフォークソングが流れる中、人々はシェリーの棺に花を捧げた。その頃同時にアーロの父親も死去する。

レイはアリスと正式の結婚式を挙げることを提案する。教会では大がかりなお祝いが行われた。二人はようやく夫婦になったわけだが、お祝い客が一人去り二人去り、アーロもガールフレンドと立ち去ると、教会はがらんどうになった。アリスは大勢人々ので入りした時代を思い出して入り口に立ちつくしていた。

「俺達に明日はない」や「イージーライダー」のような強烈な反社会的行動ではなく、フォークギターを中心にした描写。多くが実名で出演している。アーロは実在のフォーク歌手、アーロが演じている。60年代のヒッピー風俗やそれを取り巻く、戦争やおとなの世代の雰囲気が伝わってくる。(1969年)

Directed by Arthur Penn Writing credits Arlo Guthrie (song) Venable Herndon (screenplay) Cast Arlo Guthrie .... Arlo Guthrie / Patricia Quinn .... Alice Brock (as Pat Quinn) / James Broderick .... Ray Brock / Pete Seeger .... Himself / Lee Hays .... Himself - Reverend at Evangelical Meeting / Michael McClanathan .... Shelly / Geoff Outlaw .... Roger Crowther / Tina Chen .... Mari-chan / Kathleen Dabney .... Karin / William Obanhein .... Himself - Officer Obie / Seth Allen .... Evangelist / Monroe Arnold .... Blueglass / Joseph Boley .... Woody Guthrie / Vinnette Carroll .... Draft Clerk / Sylvia Davis .... Marjorie Guthrie

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夫婦 2006/10/22

中原夫妻は結婚して5年目。子供はいない。今まではテンプラ屋をやっている菊子の実家に居候していたのだが、菊子の兄の茂吉が結婚することになったため、ここを引き払って引っ越しをすることになった。ところがこの時世なかなか適当な部屋が見つからない。

夫の伊作は都内の会社の営業担当であるが、かつての情熱はどこへやら、毎日を無気力に過ごす姿が妻の菊子には気になりだしていた。会社の同僚である武村は、妻を亡くしたばかりで、伊作は空いた部屋に住めるようにと頼み込む。

兄の結婚式は迫っており、早々と出なければいけないので、二人は武村の家に転がり込んだ。二人が1階の部屋に住み、武村はむさ苦しい暮らしながら二階に住むことになった。武村は食事を作ってもらったり、風呂に入れてもらったりするうち結婚生活のありがたみを痛感する。

菊子のてきぱきした家事のこなし方やさわやかな印象は、妻を亡くししょぼくれている武村に新鮮な印象を与えた。死んだ妻は気の利かないし、食事後の食器を洗い場につけて置きっぱなしにしておくような女で、世の中に菊子のように美しく利発な女がいたことを知って驚く。そしてそれはいつしか菊子へのほのかな恋心に変わっていった。

暮れに3人で連れ立って外出したときも、武村は菊子をダンスに誘い、そのあと伊作が行方不明になってしまい、二人だけで酒を飲み、帰ってきたこともあった。だが、菊子は夫との間がうまくいくように気を使い、伊作が仙台に出張に出たときには実家から妹や弟を無理矢理やってこさせて泊まらせたりした。

にもかかわらず伊作は不機嫌だ。せっかくの菊子の気遣いにもかかわらず、それを優しく受け止めてやろうとしない夫に菊子は怒り心頭に達し、大晦日の夜実家に帰ってしまう。だが母親や兄の忠告で頭を冷やした菊子も、武村と二人で腹を減らし餅を焼いて食べていた伊作も愚かな争いをしたことに気付く。

兄と結婚する波子の紹介で、静かな家が見つかった。二人は、すぐに話をつけて武村の所を出て新しい住まいに引っ越す。子供お断りの住まいだったが、引っ越しの最中に菊子は伊作に子供を宿したことを知らせるのだった・・・

何も起こらない映画。ところが何も起こらないからこそ、平凡な毎日の描写だからこそ、深く見る人の心に残る場合もある。人々はこの映画のどこにでもいるような夫婦の姿を見てしみじみと共感を持つのだろう。(1953年・東宝)

監督 ;成瀬巳喜男 脚本 ;井手俊郎 水木洋子 配役 中原伊作;上原謙 妻・菊子;杉葉子 武村良太;三国連太郎 早川茂吉;小林桂樹 父・直吉;藤原釜足 母・たか;滝花久子 妹・久美子;岡田茉莉子 三島波子;豊島美智子

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秋立ちぬ 2006/10/25

深谷母子はある年の夏休み、信州の田舎から東京に出てきたばかりだった。父はまだ彼が小さいころになくなり、今年小学6年生になる秀男は八百屋を経営する伯父にあずけられ、母茂子は旅館で住み込みで働くことになった。

秀男は東京での暮らしになれ、伯父の長男昭太郎を手伝って、配達をしたり店番をしたりするようになった。ある時配達の際に母親の働く旅館に立ち寄る。旅館の娘で小学校4年生の順子と親しくなった。

久しぶりに会えた母親だったが、秀男にはよそよそしかった。というのも常連客の富岡にひかれ、それを息子に見られたくなかったからだ。一方順も、自分の母親は大阪にいる「お父さん」にはもう一人奥さんがいるという複雑な事情を秀男に話して聞かせるのだった。

茂子は突然富岡と駆け落ちして姿を消してしまう。裏切られた思いで母親が自分のために買ってくれたグローブを見つめる秀男。順子に何かと慰められてデパートの屋上から海を眺めたり、ついには一緒に埋め立て地まで海を見に行ってみたりする。

順子の夏休みの宿題のために秀男は生きたカブトムシを貸してあげる約束をした。自分が信州から持ってきたカブトムシが逃げてしまったので、東京にわずかに残された緑地で新たに探し回るが見つからない。

明日からいよいよ秋の学期が始まろうとする日、信州のおばあさんから送ってきたリンゴの箱の中になんとカブトムシが紛れ込んでいた。喜び勇んで順子の家に届けようとする秀男だったが・・・少年の甘酸っぱい想い出をつづった佳作。(1960年)

監督;成瀬巳喜男 脚本;笠原良三 配役 深谷茂子;乙羽信子 茂子の息子・秀男;大沢健三郎 山田昭太郎;夏木陽介 妹・春江;原知佐子 富岡;加東大介 浅尾;河津清三郎 秀男の伯父・山田常吉;藤原釜足 妻・さかえ;賀原夏子 三島順子;一木双葉 小母さん;菅井きん 順子の母・直代;藤間紫

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妻よ薔薇のやうに(二人妻) 2006/10/31

山本君子は東京の会社で働き、母親の悦子はたびたび新聞にもその作品が発表される歌人である。だが父親の俊作はこの家に寄りつかない。芸術家肌で自己中心的な妻は「苦手」なので、もうだいぶ前から同居はしていないのだ。

君子は婚約者、精二がおり、もうじき結婚するのだが、この父親のことが気がかりだった。というのも悦子が弟子から仲人を頼まれたからだ。その矢先、君子はタクシーの窓から偶然に父親の姿を目にする。きっと今晩家に訪れるだろうと君子は御馳走を作って待っていたのだが、俊作はやってこなかった。

腹を立てた君子は、俊作と同居している長野県の女のもとに行くことにする。俊作は金鉱山を掘り当てようと歩き回っている山師であり、相手の女は髪結いをしていてお雪といい山里に暮らしていた。君子が村に入るとたまたま通りかかったお雪の息子、堅一に案内されて家にたどり着く。

堅一の姉で仕立てをしている、静枝も加えた家族4人でひっそりとつつましく暮らしていたことを君子は知る。しかも毎月父親から送金されたとばかり思っていたお金は実は貧しい暮らしの中からお雪が送ってきたものであり、君子の学費のために静枝は女学校をあきらめたこともわかった。

君子は最初父親を連れ戻すつもりだったのだが、一緒に暮らす家庭の暖かさをこの家で実感した。君子は一応、俊作を東京に連れていって悦子に会わせるが、二人がうまくいくわけはないことはあきらかであり、俊作がそろそろ長野に戻りたいと言い出すと、優しく送り出すのだった。

実にさりげなく家族で一緒に暮らすことの大切さを伝えている佳作。これはアメリカで初公開された日本映画だそうだが、世界最高の離婚率を誇る?アメリカ人の中にもこれでジンときた人もいたことだろう(1935年)

演出 ;成瀬巳喜男 脚色 ;成瀬巳喜男 原作 ;中野実 『二人妻』 配役 山本君子 ;千葉早智子/ 山本俊作 ;丸山定夫 /お雪 ;英百合子 /山本悦子 ;伊藤智子 /お雪の娘・静枝 ;堀越節子 /悦子の兄・新吾 ;藤原釜足 /新吾の妻 ;細川ちか子 /君子の恋人・精二 ;大川平八郎 /お雪の息子・堅一 ;伊藤薫

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わんぱく戦争 La Guerre des boutons 2006/11/02, 2009/08/30

わんぱく戦争1913年頃の南フランスの片田舎。地平線の向こうまで広がる小麦畑の中に小さな村がふたつあった。ルブラックをガキ大将とする一方の村の子供たちは、隣村の子供たちと何かにつけて仲が悪く、いつも戦争ばかり。

この間も彼らから「フニャチン」とよばれ、はじめはなんだかわからずようやく悪口だとわかったのだった。学校が終わるとルブラックを先頭に直ちに「戦闘態勢」にはいる。ところが今回相手方のガキ大将を見事捕まえた。ルブラックは部下たちに彼を木に縛り付け、ボタンを全部ナイフで取るように命じる。

相手方のガキ大将は誇りを傷つけられ、泣いて帰って復讐を誓う。そして数日後、相手方の巧みな戦略でルブラックが今度は捕虜になってしまった。ボタンを全部取られてうちに帰ると父親が激怒し、寄宿舎(少年院の代わり?)に入れてしまうと怒鳴って殴りつけた。

母親の言葉にヒントを得たルブラックは、まだ寒いのに部下たちに素っ裸で隣村の連中と戦うことを提案する。ねらいは的中し、敵を撃退して勝利したが、鼻風邪や咳をする者が続出した。それでルブラックは隠れ家を造り、ボタンをたくさん買い込んで蓄えておけばいいと提案した。

みんなは賛成し、マムシや狐やキノコを集めてきてそれを売り、ボタンを買う資金とした。立派な隠れ家ができあがり、これで戦いの準備は万全となり、みんなでお祝いのパーティを開いている。そこへトラクターがつっこんできた。相手方のガキ大将が父親から借りてきたのだ。あえなく隠れ家はつぶされルブラックたちはボタンを取られてさんざんな目にあう。一方トラクターはそのあと故障して動かなくなってしまった。

誰が隠れ家のことを密告したのか?仲間の一人が裏切ったのだ。みんなからリンチを受けて、その少年は村に泣いて帰った。その晩はどこの家でも子供たちが親から折檻されて泣き叫ぶのが聞こえた。ただルブラックだけはこれで寄宿舎行きが決まったも同然だからそんなことになるよりは森の中に隠れる。

だが、追っ手はしつこい。犬に追われ、最後にはよじ登っていた木が切り倒されて、あえなくルブラックは寄宿舎行きとなった。寄宿舎の整然と並ぶベッドの中で、うちしおれるルブラック。ところが何と目の前には、トラクターを壊したためにここに送られてきた相手方のガキ大将が立っていたのだ!

原題は「ボタン戦争」。行進曲のような楽しいテーマソングと共に、2度と帰ることのない、のどかな時代の少年たちの生き生きした姿を描く。ガキ大将を中心に、自分たちで創意工夫を凝らし、一つの社会を作ってしまう子供たちの「生きる力」のすごさを見事に描いている。(1962年)

Directed by Yves Robert Writing credits Louis Pergaud (novel) Yves Robert (screenplay) リスニング;フランス語

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鶴八鶴次郎 2006/11/9

鶴八鶴次郎鶴次郎は浅草の寄席の芸人だがまだ20代なのに人気が急上昇している。それは才能もあるが、彼の謡(うたい)に伴奏する三味線の鶴八と絶妙のコンビを組んでいるからだ。

二人は兄妹のように育てられ、まわりの人たちもいつ結婚してもおかしくないと思っていた。だが二人はなぜかけんかが絶えず、鶴次郎が鶴八の三味線の問題点を指摘したりすると、いつも互いに我を張って譲らないのだった。

凄腕の集まる名人会に出させてもらい、二人の将来性が有望だということで、番頭(マネージャー)の佐平や、興行主たちが骨折って、二人を出演後、温泉に招待した。果たして2人は互いに秘めていた好意を打ち明けあって、結婚の約束をするところまでこぎつけた。

鶴次郎は、芸人の人気など、客の気まぐれで決まることを知っていたから、結婚後は寄席を自分で経営することを考えていた。ただ自分の金だけでは資金が到底足りなかった。それでも何とか開店までこぎつけたのだが、借金の一部が彼の嫌っていたごひいきの松崎から出ていることを知り、それが鶴八によって話が進んだことを知って激怒する。

大喧嘩の挙句、2人はコンビを解消する。鶴次郎は、場末の寄席そして人気が低迷するにつれて地方の流しをするようになった。一方鶴八は腹立ちまぎれも手伝ってか、松崎の妻になってしまっていた。この知らせを聞くと、鶴次郎は酒に入り浸るようになった。

そして2年後、何とか昔の人気を取り戻してやりたいと願う佐平の努力が実って、二人は再び名人会の会場で公演する。鶴八は松崎と離縁してでももう一度芸の世界に戻りたいと鶴次郎に告白する。

公演は大成功に終わり、今度は帝劇(帝国劇場)でやろうという話になる。ところが鶴次郎はまたまた楽屋裏で鶴八の演奏にけちをつけて今度こそ完全に別れてしまう。その夜、鶴次郎は佐平と一緒に飲み、別れた理由やこれからの生き方を語るのだった。(1938年)

演出;成瀬巳喜男 脚本;成瀬巳喜男 原作;川口松太郎 配役 鶴次郎.;長谷川一夫 鶴八;山田五十鈴 佐平;藤原釜足 松崎;大川平八郎 特別出演;春本助次郎   特別出演;文の家かしく 特別出演;竹本小和光   特別出演;鶴沢清三

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三十三間堂通し矢物語 2006/11/16

三十三間堂通し矢物語京都の三十三間堂の横のさしわたしは実は66間あって、江戸時代には、そこで弓の的あてが行われていたという。紀州藩の和左氏は、8000本近くの矢を射て、記録を作ったが、その後に備中藩の星野氏に敗れ、藩の名誉を傷つけたとして割腹した。

それから5年後、息子で17歳になる和左大八郎は父親譲りの優れた才能をめきめきと現し、星野の記録に挑戦することになった。だがまだ年若く経験も不足している大八郎は記録会が近づくにつれてプレッシャーに押しつぶされそうになっている。しかも悪いことに備中藩のならず者たちが、何とか記録達成を阻止しようとつけねらい始めたのだ。

大八郎は喧嘩に巻き込まれ、大八郎の後見役になっている旅籠(はたご)、小松屋の女将(おかみ)、お絹はそんな大八郎を見てしきりに心配する。ならず者たちが小松屋に入ってきたときに、たまたま隣の部屋で酒を飲んでいた唐津勘兵衛と名乗る男が、お絹と大八郎を助けてくれる。

何で自分たちを助けてくれるのか不審に思っていたお絹だったが、勘兵衛は的場についてきてくれ、大八郎の練習ぶりを見たり、励ましてくれたりするのだった。ところが、あくまで大八郎を失敗させようとたくらむ備中藩の星野数馬が乗り込んできて、兄に会わせろという。

勘兵衛が星野家の長男であり、記録保持者であることがばれてしまった。お絹も大八郎もショックを受け、記録会どころではなくなる。だが、若い者がいつかは記録を更新すべきだと信じる勘兵衛は大八郎を自分との的狙い競技に参加させ、大八郎は僅差で勘兵衛に勝つ。

自信を得た大八郎は記録会に出席して、見事6000本まで的を当てる。そのあと休憩を取ったのだが、そのとき勘兵衛が異議を唱えた。休憩など取らずに続行すべきだと。それを無視した大八郎は休憩を取っているうちに肩に凝り(こり)が生じ、再開後はつぎつぎと射ち損じる・・・

終戦の年の3月に作られたとは到底想像できない作品である。監督の執念、作品を作ろうという熱意の前には戦争も何も関係ないのだ。主人公の勘兵衛は、後の映画やテレビで数限りなく登場した、窮地にある人々を助けそれを成し遂げると人知れず去ってゆくタイプのヒーローである。(1945年・東宝)

演出:成瀬巳喜男 脚本:小国英雄 配役 唐津勘兵衛:長谷川一夫 / お絹:田中絹代 / 和佐大八郎:市川扇升 / 星野数馬:河野秋武 / 星野の母:葛城文子 / 清二郎:田中春男 / 甚兵衛:横山運平

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銀座化粧 2006/11/19

銀座化粧津路雪子は銀座のバー「ベラミー」に勤めている雇われマダムである。かつて菅野という妻子ある男にだまされて、恋をし春雄という男の子を産んだ。菅野はいまでもしばしば訪ねてくるがまったく甲斐性のない男で、雪子はすっかりあきらめている。春雄のほうはまだ小学生ながらなかなかしっかりした子だ。

女給で妹みたいに面倒を見てやっている京子やほかの若い女たちの面倒を見ながら雪子は毎日客の挙動にも目を光らせなければならない。ついこの間も無銭飲食の男に逃げられたばかりだ。しかし長年の苦労が彼女をしたたかにたくましく変えてきた。

ある日、かつてのマダムで今は成金の男と結婚した静江に頼まれて雪子は地方から出てきた静江の「心の友」である若い男石川を2日間東京案内をすることになる。石川は測候所に勤める純粋でロマンのある男で、雪子はすっかり参ってしまった。

ところが一日目の終わるころ、春雄が近所に遊びに出かけたまま行方不明になる。雪子は伝えにやってきた京子に石川の相手をすることを頼んで急いで家に帰る。春雄は無事見つかったが、翌朝いってみると石川はすでに田舎に帰り、京子はその晩石川のもとに泊まり2人はすっかり意気投合して結婚の約束までしたという。

雪子は自分の妹分に男を取られてしまったのだ。とはいえ、いつも京子に向かってこんな仕事なんて早く見切りをつけ早く素敵な旦那さんを見つけなさいといつも言い聞かせていただけに、まさかやめろともいえない。

雪子はいったんは売りに出されかかった「ベラミー」に戻ると、子育てと客商売に追われる日々を続けるのだった。路地裏の世界まで見えるまだ下町情緒たっぷりの銀座界隈に生き、そこから離れられない女の姿を描く。(1951年・新東宝)

監督:成瀬巳喜男 原作:井上友一郎 配役 津路雪子:田中絹代 / 子 春雄:西久保好汎 / 佐山静江:花井蘭子 / 葛西英治郎:小杉義男 / 菅野平兵衛:東野英治郎 / マダム幸子:津路清子 / 女給京子:香川京子 / 岡本龍治:岡竜三 / 石川京助:堀雄二 / 藤村安蔵:三島雅夫

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山の音2006/11/23

山の音尾形菊子は夫の修一とその両親、信吾、保子と4人で鎌倉に暮らしている。だが修一は女を作っており、夫婦の関係は冷え切っている。毎晩遅く酔って帰る夫に、菊子は静かに耐えていた。というのも義父である信吾が何かにつけて心の支えになってくれたからだ。

そこへ修一の妹である房子が乳飲み子と幼い女の子を抱えて飛び込んでくる。夫の相原との間がうまくいかないらしい。信吾夫婦は子供たちの結婚生活にはなるべくかかわりあいたくはなかったが、深刻さが増すにつれ放っておく訳にもいかなくなった。

修一と信吾は同じ会社にいる。信吾は修一の秘書から、女関係を聞き出した。そしてその女の住む家まで出向くのだった。その女は修一の子を身ごもっており、関係は終わりにしても子供だけは産むのだという。一方菊子は妊娠したが、修一が浮気をしている間は絶対産まないと言い張り、病院でおろしてしまう。

心身ともに傷ついた菊子を信吾は親身になって慰めるが、むしろこれが菊子が自由に振舞うことを妨げてきたのではないかと思い始めている。里に帰って静養してきた菊子を迎えに行った信吾は、修一と別れることを決心して泣きじゃくる菊子を見てますますその気持ちを強くするのだった。

川端文学を映画化しただけあって、普通のメロドラマと違って台詞に深い味わいがある。そして義父と嫁との心の動きが場面ごとに浮かび上がってくるのである。(1954年・東宝)

監督;成瀬巳喜男 原作;川端康成 美術;中古智 配役 尾形菊子;原節子/ 夫・修一;上原謙/尾形信吾;山村聡/妻・保子;長岡輝子/谷崎英子;杉葉子/池田;丹阿弥谷津子/相原房子;中北千枝子

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残菊物語 2006/12/20

本当にいい女は早死にする。若くて芸の未熟な役者が、自分のことをしっかり見守って励ましてくれる女を妻にして苦労をかさねた末、再び人気を取るが・・・

尾上菊之助は五代目菊五郎の義理の息子として期待をかけられているが、芸は今ひとつぱっとしない。ところがごひいきや世間は陰で悪口を言うくせに面と向かってはお世辞を言うばかりで、誰も問題点を指摘してくれないので、あせっている。

菊五郎に実の子供が生まれ、その乳母としてきていた若い女、お徳だけははっきりと菊之助の芸の足りないところを言ってくれる。彼はこれを喜び、お徳を頼りになる相談役として思うようになるが、あらぬうわさを立てられお徳はひまを出されてしまう。

どうしても再びお徳に会いたい菊之助は、父親と衝突して家を出てしまう。東京から大阪へ流れ1年たち、そこの芝居に出て苦労しているところへ、お徳が探し当ててやってきた。2人は貧しいながら夫婦として暮らし始める。

ところが芝居小屋の主人が急死し、2人は田舎まわりの旅芝居に出る。だが、これもうまくいかず貧困のうちにたちまち4年が過ぎた。それでも菊之助の芸は上達したと確信したお徳はかつての仲間やおじさんのところに頼み込みに行き、幸運にも大きな役を与えられて菊之助は成功する。

そしてようやく菊五郎の許しをもらうことができたのだが、その約束の陰にはお徳が身を引くという取り決めがあった。友人やおじさんに説き伏せられて、菊之助は泣く泣く東京に戻り、かつての芝居に復帰した。

そしてはじめての大阪公演に出かけたのだが、お徳のおじが訪ねてきて病気でもう先がないという。父親が許してくれたので菊之助は大急ぎでお徳の枕もとに行く。女房として認められ、夫がこんなに出世してもう思い残すことはないといいながら、お徳は妻として菊之助に早く大阪公演の挨拶に出かけていくようにと頼むのだった・・・(1939年)

監督;溝口健二 原作;村松梢風 配役 尾上菊之助;花柳章太郎 /お徳;森赫子 /五代目菊五郎;河原崎権十郎 /五代目夫人里;梅村蓉子 /中村福助;高田浩吉 /中村芝翫;嵐徳三郎

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